幼馴染と離れられないのは、呪いじゃなくて恋のせいでした

「……付き合ってたのか、僕ら」

ようやく解放された口を動かして、尚に問いかけた。
すると尚は一瞬、ぶはっと本気で吹き出しそうになりながら、お腹を抱えて爆笑し始めた。
……おかしなことは何一つ言っていないはずなのに、一体何がそんなにツボにハマったんだろう。

「今さら?」
「知らなかった。……じゃあ昨日、お前んちでバニラアイス食ったのもセーフか」
「いや、それは元からセーフだろ」
「そうなのか」

助かった。
じゃあ、何がアウトになるんなんだろう。チョコアイスだったら即逮捕だったのかもしれない。

「えぇええっ!? お前ら今まで付き合ってなかったの!!?」

突如、背後の植え込みから爆音が上がった。
ガサガサと葉を揺らして現れたのは、お調子者のクラスメイトの市橋(いちはし)と、小柄だがやたらと声量だけはある松風(まつかぜ)の二人組だ。二人とも心底ぶっ飛んだような顔で、口をポカンと開けて固まっている。

「僕も今日知った」
「いや意味分かんねぇよ!」

二人の盛大なツッコミが体育館裏にこだまする。

付き合う。
つまり、一緒に行く、という意味だろう。さっきの女子も僕たちに「付き合ってほしい」と言っていたのだから、きっとそうだ。
でも僕と尚は、もともとずっと一緒だ。今さら同行する場所が増えるとも思えない。

「ほら帰るぞ、北斗(ほくと)
「ん」

前を歩き出した尚の背中を、僕はいつものように追いかける。

高校二年の夏。
僕は幼馴染と付き合っている。……らしい。