勇者たちの使命

【夜】

 聖女ミズハ
「悪霊なんて、いなくなっちゃえっ! 浄化っ!」

 ちゅどど~~~んっーーどーーーんんんん

「えええ……」

「おおーーー」

「はぇ~~~」

「可愛い声、浄化の神聖魔法なのに、なんで破壊音が……」

 周囲にて警戒態勢を敷いていた騎士団の面々が、そこかしこで感嘆し、驚愕し、恐れおののいていた。

 聖女
「皆さん、お疲れさまでした。解散して報告書をあげましょう。そしたら今夜はゆっくりしてくださいね」

 騎士長
「い、い、イエス! マーム!!」

 ◇

 大魔導士ユアイ
「ミズハねえちゃん、なんだか、あの、魔法の感じがエクスプロージョンに似ていませんか?」

 聖女ミズハ
「え、判った? 何だか分からないんだけど昔から好きなのよね。でも私、火の魔法使えないから。だから…似せてるの…ウフ」

 聖騎士ミキオ
「今度、ギャラクティカって頭に付けてみてくれない? 理由は分からないけど、破壊力の効果が更に出ると思う」

 勇者サトシ
「君たちは筋金入りで好きなんだと分かりましたよ」

 聖付与師ヨシタカ
「せ、セーフ?」

 ミズハ
「それじゃ、私、レポート書いて出してくるから別行動ね。よろしくー。明日は魔王退治の対策MTGね。みんな寝坊して遅れないでね」

 ぼくは、また一瞬、寂しそうな顔をした彼女を見てしまった。今日の彼女は空元気(からげんき)に見えてしまう。

 レポートって、騎士長が領主さまに出せば好いんじゃないかな? わざわざ協会トップクラスの聖女としてレポートを書くのが必要? いや責任感なのかなぁ。何となく腑に落ちないけど、ミズハの背中を見送ったまま目で追っていた。

 ◇

 宿の部屋はちゃんと一部屋ずつ取ることが出来た。ぼくはベットに寝転び、今日のミズハやユアイ、今後の事を考えた。

 実際、危なげなくここまで来ていた。普通は危機的状況や、強敵に苦しむような展開があってしかるべきと思う。

 確かに、女神様が史上初の魔王討伐を啓示してくださった。だから、敵よりも遥かに強すぎるぐらい、ぼくたちが飛び抜けて強いのは、確かな事かも知れない。皆もおごりはないと思うし。

 何だろう? ぼくには危機感知能力はない。でも不安になる。

 明日は、女神様の啓示から魔法討伐の予測経緯を割り出し、スムーズに魔王城から帰還する方法を模索することになっている。みんなの仲間意識もゆっくりできたおかげで高まっているし、安心だ。

 不安感を感じるのは、色々と、ぼくの考えすぎかもしれないな。

 考えすぎて不安を自ら得てしまい、成功する筈だった物を、わざわざ取りこぼすなんて出来ない。女神様の啓示は必ず100%の未来がくる。魔王を討伐できれば待ち望んだ人類の平和がくるのに、当事者の僕が不安がっていたら駄目だ。

 まさか魔王が正しい存在で、女神様や人類が間違っているとか、そんな想定はアリなのだろうか? いや女神様に対する不敬罪になってしまう。

 コンコン

「お兄ちゃん、来ちゃった……」