MIUが一晩だけの入院から退院して、シェアハウスへ帰ってきた。
迎えに行ったのはレンだった。
玄関を開けた瞬間、待ち構えていた温もりが一気に押し寄せてくる。
「MIUちゃん!!」
カイが真っ先に飛びついてきた。
そして、その後ろからユウキも続く。
「おかえり、MIU」
廊下でカイに抱きつかれ、ユウキに挟まれ、一緒に帰宅したはずのレンまでが背後から腕を回す。
そのまま廊下で、四人ぐちゃぐちゃに抱き合って笑い合った。
MIUが退院する前、男たちはすでに話し合いを済ませていた。
一人にしてしまったことは、お互い責めない。
二度とこんなことがないようにしよう。
そして――俺たちが落ち込んでいたら、MIUが気にして自分を責めてしまう。
だから、今日は笑おう。
「外、出たい」
MIUがぽつりと呟いた。
一晩中、病院の白い天井を見ていたら、外の空気が吸いたくなったらしい。
「寒いだろ」
レンが毛布を引っ張り出し、四人でバルコニーへ出た。
雨は止み、ネオンの残光が濡れた床に淡く反射している。
「毛布はどうせそのうち乾く」
レンはそう言って、濡れた床へ毛布を落とした。
四人でその上へ座り込み、無理やりみたいに肩まで引っぱる。
MIUは当然みたいにレンの足の間へ座り込んでいた。
カイは当然みたいにくっついて、 ユウキだけが「狭い……」と小さくぼやいた。
体にはまだ少し震えの名残がある。
けれど三人の手が優しく撫で、絶え間なく温もりを注いでくれる。
「……俺、ずっとMIUのことばっか考えてた。飯もクソまずかったわ」
レンが耳元で囁き、照れくさそうに視線を逸らす。
MIUの頬が赤くなり、俯いた。
「……ごめん……また、迷惑かけちゃって……」
「迷惑じゃないし!」
カイがMIUの足を自分の太ももへ引き寄せ、息を吹きかけ始める。
「MIUちゃんの足、温めた指がピクンってなって……エッチすぎて俺の心臓がもたなかった。
あれ、俺の今年一番の思い出にするわ」
「カイくん、そんなの思い出にしないで……っ」
MIUが笑いながら足をよじる。
ユウキが眼鏡を直し、静かに口を開いた。
「俺の対処、的外れじゃなかったみたいでよかった。……でも次からは、抗うつ剤とストロングゼロのコンボは禁止な。命に関わる危険なカクテルは、俺のバーじゃ出せない」
MIUがぷっと吹き出した。
「……笑えないメニューできちゃった」
「言ってから気づいた」
ユウキがかすかに口元を緩める。
「『酒鬱カクテル、オンザロックで』なんて注文されたら、周りの客がみんな帰るよな……」
レンが腹を抱えて笑い出した。
「新メニュー決定じゃん。店名『Bar 鬱シェイク』で」
「なんで店名まで変わった?」
「俺は!」
カイが勢いよく手を挙げる。
「MIUちゃんの足温めサービス、正式に担当へ立候補します! 毎晩やらせてください!」
「カイ、うるさい」
「うるさくないし! 愛情表現!」
MIUは恥ずかしそうに三人の肩を順番に小突いた。
けれど全然力が入っていなくて、ただの甘えになっていた。
「もう……みんなひどい……」
でも、その声はずっと笑っている。
「……こんなの、本当はいけないことかもしれないけど……
みんながいっぱいくっついてくれるの、笑っちゃうくらい幸せだった……」
ユウキがMIUの髪を優しく梳きながら、静かに言った。
「笑っていいよ。重い夜も、こうやって笑いに変えられるなら……俺たち四人、続けていける」
バルコニーの向こうで、歌舞伎町の朝がゆっくり動き出す。
ネオンが薄れ、雨の残り香が甘く漂う中、毛布にくるまった四人の笑い声が小さく響いた。
MIUの震えは、もう恐怖から来るものではない。
みんなからもらった愛の余韻で、優しく、ただ震えているだけだった。
迎えに行ったのはレンだった。
玄関を開けた瞬間、待ち構えていた温もりが一気に押し寄せてくる。
「MIUちゃん!!」
カイが真っ先に飛びついてきた。
そして、その後ろからユウキも続く。
「おかえり、MIU」
廊下でカイに抱きつかれ、ユウキに挟まれ、一緒に帰宅したはずのレンまでが背後から腕を回す。
そのまま廊下で、四人ぐちゃぐちゃに抱き合って笑い合った。
MIUが退院する前、男たちはすでに話し合いを済ませていた。
一人にしてしまったことは、お互い責めない。
二度とこんなことがないようにしよう。
そして――俺たちが落ち込んでいたら、MIUが気にして自分を責めてしまう。
だから、今日は笑おう。
「外、出たい」
MIUがぽつりと呟いた。
一晩中、病院の白い天井を見ていたら、外の空気が吸いたくなったらしい。
「寒いだろ」
レンが毛布を引っ張り出し、四人でバルコニーへ出た。
雨は止み、ネオンの残光が濡れた床に淡く反射している。
「毛布はどうせそのうち乾く」
レンはそう言って、濡れた床へ毛布を落とした。
四人でその上へ座り込み、無理やりみたいに肩まで引っぱる。
MIUは当然みたいにレンの足の間へ座り込んでいた。
カイは当然みたいにくっついて、 ユウキだけが「狭い……」と小さくぼやいた。
体にはまだ少し震えの名残がある。
けれど三人の手が優しく撫で、絶え間なく温もりを注いでくれる。
「……俺、ずっとMIUのことばっか考えてた。飯もクソまずかったわ」
レンが耳元で囁き、照れくさそうに視線を逸らす。
MIUの頬が赤くなり、俯いた。
「……ごめん……また、迷惑かけちゃって……」
「迷惑じゃないし!」
カイがMIUの足を自分の太ももへ引き寄せ、息を吹きかけ始める。
「MIUちゃんの足、温めた指がピクンってなって……エッチすぎて俺の心臓がもたなかった。
あれ、俺の今年一番の思い出にするわ」
「カイくん、そんなの思い出にしないで……っ」
MIUが笑いながら足をよじる。
ユウキが眼鏡を直し、静かに口を開いた。
「俺の対処、的外れじゃなかったみたいでよかった。……でも次からは、抗うつ剤とストロングゼロのコンボは禁止な。命に関わる危険なカクテルは、俺のバーじゃ出せない」
MIUがぷっと吹き出した。
「……笑えないメニューできちゃった」
「言ってから気づいた」
ユウキがかすかに口元を緩める。
「『酒鬱カクテル、オンザロックで』なんて注文されたら、周りの客がみんな帰るよな……」
レンが腹を抱えて笑い出した。
「新メニュー決定じゃん。店名『Bar 鬱シェイク』で」
「なんで店名まで変わった?」
「俺は!」
カイが勢いよく手を挙げる。
「MIUちゃんの足温めサービス、正式に担当へ立候補します! 毎晩やらせてください!」
「カイ、うるさい」
「うるさくないし! 愛情表現!」
MIUは恥ずかしそうに三人の肩を順番に小突いた。
けれど全然力が入っていなくて、ただの甘えになっていた。
「もう……みんなひどい……」
でも、その声はずっと笑っている。
「……こんなの、本当はいけないことかもしれないけど……
みんながいっぱいくっついてくれるの、笑っちゃうくらい幸せだった……」
ユウキがMIUの髪を優しく梳きながら、静かに言った。
「笑っていいよ。重い夜も、こうやって笑いに変えられるなら……俺たち四人、続けていける」
バルコニーの向こうで、歌舞伎町の朝がゆっくり動き出す。
ネオンが薄れ、雨の残り香が甘く漂う中、毛布にくるまった四人の笑い声が小さく響いた。
MIUの震えは、もう恐怖から来るものではない。
みんなからもらった愛の余韻で、優しく、ただ震えているだけだった。

