3.
「湊先輩、どこにいますか――」
後輩部員の声が響いた。誰かが私の不在に気づいちゃったらしい。
「呼ばれてますよ。行かないとまずいことになるんじゃないですか」
「嫌だなぁ。私なんか、いないほうがマシなのに」
「生きてるから、死にたいって宣言できるんですよ」
秋人は表情一つ変えずに言った。励ましてくれたのか、よく分からない。
私は、ただ今の現状が苦しいだけ。逃げたい。できることなら避けてしまいたい。部活に行ってるから、苦しい。苦しいことに意味はない。ただただ、いないほうが、としか思えない。
上手に返事ができないまま、廊下に出てきた後輩が、私の姿を発見した。
後輩は、教室の扉を開けて息をついた。
「湊先輩、ここにいたんですか。探しましたよ」
「うん、ごめんね。ちょっと休憩したくて」
後輩は、未だ窓際で風を浴びている秋人の背中に目をやった。探るような目だった。私は、この不思議そうな目が怖い。
「クラスメートだよ。教室で自習してたみたい。家にいるよりマシだからって」
「へぇ、そうなんですね。先輩、行きますよ。今日、後の時間は全部全体練習みたいです。先生も見に来るみたいですよ」
「そっか、頑張らないとね」
教室を出る間際に振り返る。秋人はまだ窓際にいる。いつの間にか、白いイヤホンを装着して頭を左右に振っていた。なに聞いてるんだろう。もっと喋りたかったな。
拳を握って、全身に力を入れた。
「湊先輩、どこにいますか――」
後輩部員の声が響いた。誰かが私の不在に気づいちゃったらしい。
「呼ばれてますよ。行かないとまずいことになるんじゃないですか」
「嫌だなぁ。私なんか、いないほうがマシなのに」
「生きてるから、死にたいって宣言できるんですよ」
秋人は表情一つ変えずに言った。励ましてくれたのか、よく分からない。
私は、ただ今の現状が苦しいだけ。逃げたい。できることなら避けてしまいたい。部活に行ってるから、苦しい。苦しいことに意味はない。ただただ、いないほうが、としか思えない。
上手に返事ができないまま、廊下に出てきた後輩が、私の姿を発見した。
後輩は、教室の扉を開けて息をついた。
「湊先輩、ここにいたんですか。探しましたよ」
「うん、ごめんね。ちょっと休憩したくて」
後輩は、未だ窓際で風を浴びている秋人の背中に目をやった。探るような目だった。私は、この不思議そうな目が怖い。
「クラスメートだよ。教室で自習してたみたい。家にいるよりマシだからって」
「へぇ、そうなんですね。先輩、行きますよ。今日、後の時間は全部全体練習みたいです。先生も見に来るみたいですよ」
「そっか、頑張らないとね」
教室を出る間際に振り返る。秋人はまだ窓際にいる。いつの間にか、白いイヤホンを装着して頭を左右に振っていた。なに聞いてるんだろう。もっと喋りたかったな。
拳を握って、全身に力を入れた。



