あおいと呼ぶにはまだ早い

土曜日
バレー部の最終試合は惨敗だった

顧問の斉藤が、お疲れ様会をファミレスで、開いてくれた
盛大に飲んで食って、今更だけど、僕らは一丸となった
僕も放課後の部活が無くなるのは、少し寂しい
何より、バレー部のおかげで宮世と友達になれた
ありがとうバレー部!


お疲れ様会の後、僕は学校に戻った
月曜から宮世の動画を撮るために、少しでも上達したい
陸上じゃなくても、どこかの運動部を撮ってみよう
そう思って、グラウンドに目をやると、誰かいる!

宮世?じゃない。遠藤君?
僕は、駆け寄り、挨拶をした
「こんにちは」
怪訝な表情で、会釈する遠藤君
僕は慌てて、状況を説明する
 
「そういうことですか」
「遠藤君。ストップウォッチは簡単って言って、ごめんなさい」
「別に、気にしてませんから」
「ほんと?」
「はい」
「じゃあ、お願いしていい?」
遠藤君は、噴き出す汗をタオルで拭きながら、かまえる
「…何ですか?」
「動画の撮り方、教えて欲しいんだ。お願いします」
僕は90度のお辞儀をした
「私がですか?」
「他に頼める人が、いなくて」
「宮世先輩は?」

「宮世はたぶん…」
僕は、表情を作り
「しゅうの、撮りたいように撮ればいいよ」
と、宮世の真似した
「似てますね」
やっと、遠藤君が、にこやかになってくれた

「分かりました、私でよければ」
「ありがとう」
「今日は撮り方を説明して、明日の朝練で実践練習、してみますか?」
「僕は大丈夫だけど、遠藤君は?」
「大丈夫です」
「ありがとう助かる」
「じゃあ着替えてきます」
遠藤君は、部室へ行った

いい子だ…
今度、宮世のどこが好きなのか聞いてみようかな?


次の日
「バッチリだと思います。角度も画角も。フォームの確認がしやすいです」
帰り道、遠藤くんは歩きながら、
僕の撮った動画を確認している

「良かった、ありがとう」
僕はお辞儀をし、心からの感謝を伝える
「いえいえ、私は、知ってることを伝えただけなので」
「それが、本当に助かった。ありがと。あと、えっと…1つだけ聞いてもいいかな?」
「はい」
「宮世…葵って呼ばれるの、何で嫌がるのかな?」
「あーそれは、私も詳しくは知らなくて。ただ、中学からずっとだそうです」
「そっかぁ…」
中学から…
「あっごめん。今日は、お礼させて。お昼ご飯、早いけど、ご馳走するから」
「えー、いいですよ。そんなに、気を遣わないでください」
「いいから。ラーメンは?宮世と行ったとこが、美味しかったんだ」
「やってますか?まだ朝の9時ですけど」
「そこ、朝ラーメンってメニューがあって、7時〜やってるから大丈夫」
「そんなお店あるんですか?」
「あるのー、行くよ」

僕は、走り出した
後ろで、遠藤君が苦笑いしてるのが分かる
「えっ、走るんですか」
「遠藤君、走るの得意でしょう」