芭玖と本当の恋人になってから、二ヶ月半が経った。季節はもうすっかり冬で、あれからも順調に俺たちは甘酸っぱい青春を満喫している。
とはいえ、俺たちは強豪バスケ部。クリスマス返上で、三年の先輩が最後の大会となるウィンターカップに、出場が決定してる。その試合直前の調整として、今日はレギュラーも控えもごっちゃで、紅白戦に励んでいた。
「速攻──!」
司令塔の鬼ちゃんの一声で、俺たちは全力で相手コートを目指して走る。
「あと十秒ちょい、時間ないぞ! 蘭を止めろ!」
「二点差だ! 蘭、そのまま差を広げろ!」
鬼ちゃんからパスを受けた俺は、すぐさま相手ゴール下に向けて、ドリブルで切り込んだ。一人、二人とディフェンスをかわして、リングまではあと少し。
ここで俺が点を決めれば、ツーポゼッション差。勝ちはほぼ確だ。
だけど、そう簡単に一人で点を取りにいけるほど、うちの仲間たちは甘くない。控えセンターでも、全中ベスト4にもなったことのある期待の一年蓮水くんが、俺の前に立ちはだかる。
「蘭先輩、行かせませんよ」
「え? マジ?」
驚いたように言いながらも、俺は至って冷静だった。
マークが自分に集中してる今、フリーになった芭玖がゴール下に動き出すのが視界に入ったからだ。
付き合って、一緒に過ごす時間が増えたからか。芭玖と気持ちが通じ合ってるからか、はたまたお互いの気持ちを言い合うようになったからなのか。前よりも自然と息が合う。
アイコンタクトだけで、何をすべきか手に取るように分かって、互いにこくりと頷く。
「残念だったな、蓮水くん」
「え、」
蓮水くんがそう言った瞬間、俺は宙に軽くボールを放つ。
「行け! 芭玖!」
「任せろ!」
そう、ゴール下に飛び込んできた芭玖が、えげつないほど高く跳躍して、空中のボールをキャッチした。そのままの勢いで、激しくリングに叩き込む。
力強いアリウープが決まったちょうどそのとき、紅白戦の終了を告げる笛が鳴った。体育館がその勢いに圧倒されて、静まり返る。
芭玖が吊り下がって、ギッ、ギッとリングの軋む音だけが、辺りに響いていた。
でも、俺の心臓もそれに負けないくらい、ばくばくとうるさくてたまらない。
(あんなん決める俺の彼氏、エグすぎんだろ!)
自然と笑みがこぼれる。
クリスマス、らぶらぶデートできないって、昨日芭玖に駄々こねちゃったんだけどさあ。全国の舞台で、芭玖とプレーできるのなら、それ以上に幸せなものはない。
さっと着地した芭玖の元へ駆けて、その体に飛びつく。
「もー! 芭玖、最高じゃん! 愛してる!」
「あははっ。俺も」
了
とはいえ、俺たちは強豪バスケ部。クリスマス返上で、三年の先輩が最後の大会となるウィンターカップに、出場が決定してる。その試合直前の調整として、今日はレギュラーも控えもごっちゃで、紅白戦に励んでいた。
「速攻──!」
司令塔の鬼ちゃんの一声で、俺たちは全力で相手コートを目指して走る。
「あと十秒ちょい、時間ないぞ! 蘭を止めろ!」
「二点差だ! 蘭、そのまま差を広げろ!」
鬼ちゃんからパスを受けた俺は、すぐさま相手ゴール下に向けて、ドリブルで切り込んだ。一人、二人とディフェンスをかわして、リングまではあと少し。
ここで俺が点を決めれば、ツーポゼッション差。勝ちはほぼ確だ。
だけど、そう簡単に一人で点を取りにいけるほど、うちの仲間たちは甘くない。控えセンターでも、全中ベスト4にもなったことのある期待の一年蓮水くんが、俺の前に立ちはだかる。
「蘭先輩、行かせませんよ」
「え? マジ?」
驚いたように言いながらも、俺は至って冷静だった。
マークが自分に集中してる今、フリーになった芭玖がゴール下に動き出すのが視界に入ったからだ。
付き合って、一緒に過ごす時間が増えたからか。芭玖と気持ちが通じ合ってるからか、はたまたお互いの気持ちを言い合うようになったからなのか。前よりも自然と息が合う。
アイコンタクトだけで、何をすべきか手に取るように分かって、互いにこくりと頷く。
「残念だったな、蓮水くん」
「え、」
蓮水くんがそう言った瞬間、俺は宙に軽くボールを放つ。
「行け! 芭玖!」
「任せろ!」
そう、ゴール下に飛び込んできた芭玖が、えげつないほど高く跳躍して、空中のボールをキャッチした。そのままの勢いで、激しくリングに叩き込む。
力強いアリウープが決まったちょうどそのとき、紅白戦の終了を告げる笛が鳴った。体育館がその勢いに圧倒されて、静まり返る。
芭玖が吊り下がって、ギッ、ギッとリングの軋む音だけが、辺りに響いていた。
でも、俺の心臓もそれに負けないくらい、ばくばくとうるさくてたまらない。
(あんなん決める俺の彼氏、エグすぎんだろ!)
自然と笑みがこぼれる。
クリスマス、らぶらぶデートできないって、昨日芭玖に駄々こねちゃったんだけどさあ。全国の舞台で、芭玖とプレーできるのなら、それ以上に幸せなものはない。
さっと着地した芭玖の元へ駆けて、その体に飛びつく。
「もー! 芭玖、最高じゃん! 愛してる!」
「あははっ。俺も」
了



