桜梅桃李

桜梅桃李、それは、他人と比較せず自分らしく生きること。

それは、私にとって、最大の敵だ。

誰かに合わせないと。嫌われないように。


その言葉は、いつしか自分を苦しめていた。


君と出会って、全てが変わった。



_______




「桜ー!!今日放課後遊ばないー??」

私、宮園桜。高校2年生

「え!いく!」

「おけー!じゃあ、他の子も誘っとくね!」

「あ…うん!わかった!」


いつもの日常。
本当は私の友達、夢花と2人で遊びたかったなんて言えない。



私は、小中学生で友達付き合いが上手ではないことに気づいた。

心機一転、高校生活では青春を楽しもうと、無理してキラキラな生活を送ろうとしている



「桜、また夢花と遊ぶの?」

もう1人の友達、莉子。

「そうだよ、せっかく誘ってもらったんだしさ」

「なんか毎回つきあわさてない?ほら、夢花って我儘だし」

莉子が眉をひそめながら小声でいう。

足かに、夢花に少し不満を持っていることもある。
安定的に遅刻してくることやドタキャンだって、過去何回かあった。




「でも、私は夢花や莉子と一緒にいるのが好きだよ」

「まあ、桜がいいんだったらいいけどさー」


私の性格とは逆に、莉子や夢花は思ったことをバシバシいうタイプだ。
そういう強いところに密かに憧れがある。







「ま、楽しんでね。」
「え、莉子は行かないの?」


夢花が誘っているのかと思っていた。

私は大人数が苦手だけど夢花はみんなでワイワイ遊ぶのが好きなタイプだ。





「あー、誘われたけど私パス。なんか、めんどいし。」

そう言って、莉子はスマホを見せる。




『莉子、今日桜と遊ぶんだけど来てね!』

『無理、ごめん』

『えー!ノリ悪ー!』

『ごめん』

『もー!絶対次誘ってあげないんだからね!!』




ノリ悪い、次誘わない。

私が夢花や莉子に言われたら立ち直れない言葉だらけ。

どうして平気でいられるのかが不思議なくらいだ。







「なんか、夢花の傲慢さに飽き飽きしちゃってさー」

夢花の話をしてると、夢花が教室に戻ってきた。

「あ、きた。じゃあ、桜、楽しんでね」

「え、う、うん」





夢花は面白くて優しい。
だけど一緒にいてあれ?って思うところもある。


「私って、どうしたいんだろ…」
そっと呟いたその言葉は、ガヤガヤとした声に全てかき消されてしまった。





授業が始まる。今日は文化祭についての決め事だ。




「文化祭実行委員やる人いませんか?」


先生が声をかけるが、クラスの人たちはシン…と黙りこくる。






正直、居残りなどがきついし、何よりみんなをまとめ得るのが得意じゃないわたしにとってやる意味がない。



「誰もいないなら…推薦とかでどうでしょうか?」



先生は困っている様子だ。
でも、これと言って私にできることないし…



「先生」

聞き馴染みのある、声がした。



「桜とかどうですか?」

振り返れば、自信げに笑う夢花の姿があった。



「え、え???」


「あら、いいじゃない、桜さん、やってくれるかしら?」


ちょっと、待ってよ。私、できないと…

「え、っと…」

「桜さんならできるわ、お願いね」





先生の言葉が、ぐるぐると頭の中を回る

気づいた時には、「はい」と小さな声で伝えていた…






「さて、男子は…」


1人、静かに手を上げる

「俺、やります」



クラスの人気者、神田桃李だ。

「あ、桃李さん、やってくれるの?ありがとう」




え…
神田さん?話したこともないし、よく知らない人。



「じゃあ、実行委員の人たちが司会進行よろしくね。」



先生の声も、クラスの人の声も、よく聞こえなかった。

私は、なんでなりたくなかった実行委員になってしまったのか。



「桜」

「え」

「桜?」



神田さんの声がして、ハッとした。

「ご、ごめん」

ふと気づいた。

神田さん、いきなり下の名前呼び捨てしてる…




「司会進行は俺やるから、桜は板書でもしといて。」

「あ、、、はい!」



神田さん、いつも誰かに囲まれてて、地味な私とは少し距離があったけど。
こんな私にまで優しいなんて。




神田さんのおかげで、スムーズに進行が進んだ。












「あら、2人ともありがとう、では授業終わります」

気づいたら授業がおわっていた
神田さんは私のペースに合わせてくれて、ありがたかった。




「それと、2人は、放課後文化祭会議があるから居残りよ。」

え。
何それ。
そんなのあるんだ…


「…あ」

今日、夢花と約束していたことを思い出した。

「桜、どうかした?」
私の表情の変化に気づいてくれた神田さんから声がかかる。


「あ、今日、夢花と予定があって」

でも、それが文化祭会議を休む理由にはならない

「どうやって、、、断ろうかなって、考えてた。」

「夢花って、あの人か」

ぽそりとつぶやいた神田さんの声は、私の耳に聞こえた。

「そ、そうだよ。」


私、今まで夢花との誘いを断ったことがなかった。

「できるかな…」


これで、
嫌われちゃったらどうしよう。ノリ悪いって思われたらどうしよう。
もう、友達でいなくなっちゃったらどうしよう…


怖い、怖い。


「桜、大丈夫?」

神田さんが優しい声色で声をかける。


そ、そうだよね。
文化祭実行委員に選ばれたからには、サボるなんてありえない。





「私、断ってくる!」


6時間目終わり、ガヤガヤとうるさい教室を飛び出して、夢花のいそうなところへ\向かった。

「…桜、俺もいくよ」

神田さんもついてきてくれた。

「え、いいの!?」
「もちろん、同じ実行委員だし。」



そうこう話しているうちに、夢花を見つけた。


「ゆ、夢花」

「あ!桜〜!!!何ー??」


ドクン、ドクンと
私の心臓が脈打つのがわかった。


嫌われたらどうしよう。もう友達でいられなくなったらどうしよう



「あ、あのさ今日…」
「あ、今日!?行きたいところ見つけてさー!でも金欠だから、1000円くらい貸してほしくて!」

あ、どうしようこれ。私、無理かも。


「このお店超可愛くない!?久しぶりの部活オフだし、いこーよーーー!」

今まで、どうやってしゃべってたっけ。
口が開かない。
何も、喋れない。



「あのさ、」

沈黙の中、口を開いたのは神田さんだった

「やめな、そういうこと」

え?

「そういうことって…何よ、あんたには関係ないでしょ」

夢花の口調が強くなる



「怪しいと思ってた。みんながやりたくない文化祭実行委員を押し付けて、その上今日お金も借りようとしてたの?」

「そ、そんなの、あんたには関係ないじゃん。」






…そんなこと、最初からわかってたよ。

都合のいいように私を使って、嫌なことは全部押し付ける。




でも、そんな夢花に依存する私が一番大嫌い。


ーだから。


「夢花、今日、やっぱなしで!!!!」


私は、自分の思いを伝えるんだ。


「は、は!?」


「…言えるじゃん」

「なんで!?今日は絶対一緒に遊ぼうって約束したじゃん!なんで!?この約束破り!」

もう、何を言われたって、大丈夫

「本当に言ってる、それ。もしそうなら、もう2度と桜と一緒に遊ばないよ!?いいの!?」





やっぱり、夢花は…

私自信じゃなくて、なんでもいうこと聞いてくれる人が欲しかっただけなんだね。




「もういいよ!じゃあね!!」

雲かかってた私の空がすっきりと広がる。


私はくるりと夢花に背を向けて教室に戻った。


「な、なんなのあいつ!」

「お前、もう2度とさくらに関わるな」

「な、ど、どうして…」





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日が沈み、会議が終わった頃だった。


「桜、すごかったよ。」

しばらく気まずい雰囲気が流れていたのを打ち破ったのは、神田さんだった

「で、でも、結構キツイ言い方しちゃった」

「大丈夫、桜にはもっといい人がいるよ。」

え…

「…例えば俺とか?」


「!?」

「ごめん、めっちゃ恥ずいかも、忘れて」






君と出会って、少し変われた。

自分らしくいるなんて、簡単なことじゃない。

なりたい自分に近づくために、一歩一歩進んでいく。


その横に、君がいたらいいな。