アフタージャーニー

「知ってるよ、そのぐらい」

 カラッとした声だった。
 俺に向ける眼差しも「だからなに」と笑う声も、どこまでも優しい。
 
 もう一度誰かに、この感情を向けたいと思った。
 曖昧な未来の先も、珠生となら、同じ景色を見れるかもしれないと思った。
 
「あのさ、珠生」

 名前を呼ぶ声が掠れた。
 こちらに顔を向けた彼女の頬に、俺はゆっくりと手を伸ばす。

 彼女の瞳に映る自分が、特別であってほしいと願った。
 ありったけの願いを込めて、彼女にキスをした。


「俺と一緒にいて」