アフタージャーニー

「さっき、初めて踊ってるところ見た。かっこよかった……私、この人が好きなんだって、見惚れちゃった」

 こちらを真っ直ぐに見据える瞳に、心臓を掴まれたみたいにドキッとした。

 ……喉の奥が熱い。
 伝えたいことは熱を帯びているのに、言葉にならない。

「俺、けっこう面倒くさいタイプだよ」

 自分で言って、苦笑いした。

「……今のところ夢も金もないし。ダンスしかやってこなかったし。顔でごまかしてるだけで、つまんないよ」

 そこまで言うと、俺は珠生の横に並んだ。
 川面に視線を落とすと、唇をキュッと結ぶ。

 最後の抵抗だった。
 傷つくのが怖いんじゃない。
 傷つける側になるのが、怖かった。