ホットカクテルのグラスに触れた指が、少し震えた。
侑樹さんは目を細めると、小さく息を吐いた。
「なんであいつは、歪んだ優しさしか出せないのかねぇ……」
それから、私の顔を覗き込むと、クスリと笑う。
「んー。あいつのこと、一発ぶん殴ってもいいと思うよ」
「そんなことできないです! 人見知りで、ちょっと面倒くさいところもあるけど、素直で優しいし、守りたくなっちゃうんです。あの顔だからなんでも許せそうになって、流されちゃったのは否定できないけど……」
私の言葉に、蒼樹さんが「顔のせいだけじゃないと思うけどねぇ」と呟いた。一呼吸置くと、彼は静かに続ける。
「昔から侑樹は、誰かを傷つける側になることを、極端に恐れるから。珠生ちゃん、僕に言ってくれたこと、それ全部、侑樹に直接言ってあげて」
「でも、もう……嫌われたから。会う機会もないですし」
自分でも、声が震えているのがわかった。
蒼樹さんは黙ってグラスを拭きながら、私を見ていた。ふとその手を止め、彼はスマホを取り出す。
カウンター越しに、私に画面を向けたから、何かと思って覗き込むと、地図アプリが開いている。
「僕が教えたっていうのは、内緒ね?」
蒼樹さんはいたずらっぽい笑みを浮かべて、指でひとつの場所を示す。
そこに表示されていたのは、ダンススクールだった。
侑樹さんは目を細めると、小さく息を吐いた。
「なんであいつは、歪んだ優しさしか出せないのかねぇ……」
それから、私の顔を覗き込むと、クスリと笑う。
「んー。あいつのこと、一発ぶん殴ってもいいと思うよ」
「そんなことできないです! 人見知りで、ちょっと面倒くさいところもあるけど、素直で優しいし、守りたくなっちゃうんです。あの顔だからなんでも許せそうになって、流されちゃったのは否定できないけど……」
私の言葉に、蒼樹さんが「顔のせいだけじゃないと思うけどねぇ」と呟いた。一呼吸置くと、彼は静かに続ける。
「昔から侑樹は、誰かを傷つける側になることを、極端に恐れるから。珠生ちゃん、僕に言ってくれたこと、それ全部、侑樹に直接言ってあげて」
「でも、もう……嫌われたから。会う機会もないですし」
自分でも、声が震えているのがわかった。
蒼樹さんは黙ってグラスを拭きながら、私を見ていた。ふとその手を止め、彼はスマホを取り出す。
カウンター越しに、私に画面を向けたから、何かと思って覗き込むと、地図アプリが開いている。
「僕が教えたっていうのは、内緒ね?」
蒼樹さんはいたずらっぽい笑みを浮かべて、指でひとつの場所を示す。
そこに表示されていたのは、ダンススクールだった。

