アフタージャーニー

 ベッドの上で目を閉じると、今日一日が脳裏にフラッシュバックする。疲れ切った身体は深く沈んでいるのに、眠れなくて目を開ける……また閉じて、浅い呼吸を繰り返す。

 今何時だろうと、ベッドサイドに置いたスマホを見ると、深夜を回った頃だった。

 もう、今夜は眠れないかもしれない。
 喉の渇きを感じて、私はベッドから身を起こした。

 カーテンと窓を開け、ベランダに出る。
 
 スウェットの袖口から入る真夜中の風は弱いのに、手首のあたりにあるぬくもりをあっという間に剥がしていく。吸い込んだ空気は思ったより薄く乾いていた。

「侑樹いる……の?」

 ベランダの仕切りの下から漏れる、わずかな明かり。気配を感じて、手すり越しに覗き込むと、ちょうど出てきた侑樹と、目が合った。

「……まだ起きてたのか」

 彼はボソリと呟くと、目を逸らした。
 以前なら軽口を叩けたはずなのに、今はただ、喉の奥が熱くなるばかり。

「侑樹。あの、SNSで……」
 
 ひんやりとした手すりに置いた手から、熱が失われていく。
 言葉の続きを探す私の視線は彷徨うのに、彼の瞳は捉えられないまま。

「知ってる。あと、ここを出る。荷造り中だから、部屋戻るわ」
「待って、え……なんの話を」