アフタージャーニー

 違う、あなたじゃない。

 ローンチに間に合わせるため、調達に奔走したのはチームの判断。
 でも、元を正せば発注がずれてしまった起点は、私だ。

 話が終わり、椅子に浅く腰かけた先輩をチラリと盗み見る。
 その横顔は、諦めを含んでいて、私の視線に気づきもしない。
 
「あのっ、この件は、私が……っ!」

 耐えきれなかった。身体も気持ちも、前のめりになってゆく。このままじゃ、何かから転げ落ちそうな気がしたから、わずかに残っていた勇気を振り絞って、口を開いた。

 みんなが、一斉に私を見た。

「責任を取るための責任者やろ? あとはな、会社は数字を見なきゃアカンの」

 ディレクターが口を開いた。
 それに続く言葉に、何も言えなくなってしまった。

「厳しいこと言うようやけど。じゃ、一年目の芹沢さんがなんの責任取れるん? 新人に責任押し付けるとか、ただのパワハラ職場やん。会社としてなんも解決せぇへん」

 そんなこと、わかっている。
 足手まといなのは、私なのに。外されるべきなのは、私なのに。
 
 でも、なによりも。
 このプロジェクトに私がいてもいなくても、何も変わらないと突きつけられたことが悔しかった。 

 会議が終わっても、私ひとり、すぐには動けなかった。
 握りしめていた拳をゆっくりと開くと、手のひらに食い込んだ紅い跡が残っていた。