「……悪い。もう帰る」
足音が、玄関へ遠ざかっていく。
扉が閉まる音がした。
見慣れた部屋のはずなのに、ひとりぼっちの閉塞感が急に形になって襲いかかってくるみたいだった。肌に触れる空気すら、冷たく感じる。
ふとテーブルの上を見ると──侑樹が置いていったグラスの中の氷は、いつの間にか形を失い、溶けていた。
耐えきれなくて、私は逃げるようにシーツに顔を埋めた。
微かに残る、甘い果実の香り。
さっきまで、確かにここにいた人の気配が、鼻先をかすめて消えてゆく。
余熱を探す指先が、シーツの上を彷徨う。
ジワリと滲む涙は熱いのに、身体は冷えてゆく。
足音が、玄関へ遠ざかっていく。
扉が閉まる音がした。
見慣れた部屋のはずなのに、ひとりぼっちの閉塞感が急に形になって襲いかかってくるみたいだった。肌に触れる空気すら、冷たく感じる。
ふとテーブルの上を見ると──侑樹が置いていったグラスの中の氷は、いつの間にか形を失い、溶けていた。
耐えきれなくて、私は逃げるようにシーツに顔を埋めた。
微かに残る、甘い果実の香り。
さっきまで、確かにここにいた人の気配が、鼻先をかすめて消えてゆく。
余熱を探す指先が、シーツの上を彷徨う。
ジワリと滲む涙は熱いのに、身体は冷えてゆく。

