[Side 侑樹]
まさかまた、こうやってカメラの前に立つ日が来るとは思わなかった。
全ての人の視線が俺に集中し、その一挙手一投足が現場の空気を作る。
浜辺に立つと、足元で砂が舞った。
地平線が白み、夜の闇がほどけるように広がっていく。
明るくなっていく空から星が消えていくのを、俺はしばらく見つめていた。
ゆっくりと深呼吸すると、視線をカメラに戻した。
一発勝負の屋外撮影が終わると、間髪おかず撮影スタジオへ移動だ。移動中に軽くサンドウィッチをつまみ、到着後はメイクを直した。午後からはメンズラインもあるコスメブランドとのタイアップ撮影らしい。
「話は聞いていたんですが、侑樹さん、さすが韓国風メイク似合いますね。肌も本当、きれいだし」
「そうですか? ありがとうございます」
朝から一緒のヘアメイクやスタイリストともだいぶ打ち解けた。少し談笑をしてから、撮影スペースに向かう。午後の担当のカメラマンと握手を交わし、コスメブランドのスタッフに挨拶をしていた時のこと。
背後から「遅れました」と声をかけられ、振り返って──息が止まった。
「失礼します。こんにちは、よろしくお願いします」
悠愛と目が合った瞬間、頭の中が真っ白になった。俺を見る彼女の瞳が揺れたのは、一瞬のこと。彼女は数回瞬きをすると、何事もなかったかのように俺に名刺を差し出した。
「……こちらこそ」
俺も慌てて口角を上げると、挨拶を返す。
名刺の上で、互いの指が意図せず触れ、すぐに離れた──あの夜に終わったはずの関係が蘇り、知り尽くした肌の感触が不意に戻ってくる。余熱が消えるには、まだ時間が足りない。
ただ、撮影に集中すればいい。
過剰なまでにライトアップされた撮影スペースで、響き渡るシャッター音の中、俺はカメラに向けて自分を差し出した。
まさかまた、こうやってカメラの前に立つ日が来るとは思わなかった。
全ての人の視線が俺に集中し、その一挙手一投足が現場の空気を作る。
浜辺に立つと、足元で砂が舞った。
地平線が白み、夜の闇がほどけるように広がっていく。
明るくなっていく空から星が消えていくのを、俺はしばらく見つめていた。
ゆっくりと深呼吸すると、視線をカメラに戻した。
一発勝負の屋外撮影が終わると、間髪おかず撮影スタジオへ移動だ。移動中に軽くサンドウィッチをつまみ、到着後はメイクを直した。午後からはメンズラインもあるコスメブランドとのタイアップ撮影らしい。
「話は聞いていたんですが、侑樹さん、さすが韓国風メイク似合いますね。肌も本当、きれいだし」
「そうですか? ありがとうございます」
朝から一緒のヘアメイクやスタイリストともだいぶ打ち解けた。少し談笑をしてから、撮影スペースに向かう。午後の担当のカメラマンと握手を交わし、コスメブランドのスタッフに挨拶をしていた時のこと。
背後から「遅れました」と声をかけられ、振り返って──息が止まった。
「失礼します。こんにちは、よろしくお願いします」
悠愛と目が合った瞬間、頭の中が真っ白になった。俺を見る彼女の瞳が揺れたのは、一瞬のこと。彼女は数回瞬きをすると、何事もなかったかのように俺に名刺を差し出した。
「……こちらこそ」
俺も慌てて口角を上げると、挨拶を返す。
名刺の上で、互いの指が意図せず触れ、すぐに離れた──あの夜に終わったはずの関係が蘇り、知り尽くした肌の感触が不意に戻ってくる。余熱が消えるには、まだ時間が足りない。
ただ、撮影に集中すればいい。
過剰なまでにライトアップされた撮影スペースで、響き渡るシャッター音の中、俺はカメラに向けて自分を差し出した。

