浜辺に足を踏み入れると、ざあっという規則正しい波の音が聞こえる。
かすかに朝の気配がする鉛色の海はとても静かで、大きく息を吸い込むと、潮の匂いがした。
「芹沢さん、準備どう? にしても、なんだか夏が終わったって感じの朝だよね」
「あっ、はい! 撮影、立ち会うの初めてで緊張してて……」
先輩に声をかけられ、私は手に持っていたタブレット端末で今日のスケジュールをひとつひとつ確認してゆく。緊張でほとんど寝られなかったと告げると、先輩が「嘘でしょ?」と笑った。その声はゆっくりと空気に呑み込まれていった。
「ロケバス待機のモデルさんメイク終わったみたい。カメラマンさんも準備できたって今メッセージが……すぐ撮影始めたいから、芹沢さん、モデルさん迎えに行ってきてほしい」
そろそろ、ユニセックスラインのキービジュアルの撮影が始まる時間。
先輩から指示が飛び、私は「よし! 今日は精一杯サポートしよう」と、拳をキュッと握りしめるとロケバスへ向かった。ロケバスの周りは、ディレクターやチーフデザイナー、自社コンテンツ動画用にカメラを回すスタッフまで。かなりの人が集まっていた。
私が近づいて声をかけるよりも早く、ロケバスのドアが開く。準備ができたという声と共に、ヘアメイクさんが降りてきたのがチラッと見えた。
続いてモデルが姿を現す。周囲のあちこちから「似合う」と感嘆のため息が漏れ、チーフデザイナーの興奮でうわずった声が響き渡った。
「スタイリングもイメージどおり最高です! 凄い……雰囲気出てる」
モデルのスタイリングは、シンプルなグレーのセットアップ。その上から少しオーバーサイズ気味の白いシャツ。折り返した襟や袖から覗くネイビーとシャーベットオレンジのストライプ裏地が、ゆるっとしたシルエットをキリリと引き締めている。
「えぇやん! 惚れ惚れするイケメンやわぁ。ウチのスタッフ全員、今日惚れるんちゃう?」
ディレクターが満足げに頷くのもわかる。モデルの顔に視線を向ければ、前髪をラフに崩していてもわかる、シャープで甘い顔立ち。透明感を最大限まで引き出すナチュラルメイクが、艶やかな肌に映える。
夜明けの海辺に佇み、朝の光に照らされたら、どれほど美しいだろう。
かすかに朝の気配がする鉛色の海はとても静かで、大きく息を吸い込むと、潮の匂いがした。
「芹沢さん、準備どう? にしても、なんだか夏が終わったって感じの朝だよね」
「あっ、はい! 撮影、立ち会うの初めてで緊張してて……」
先輩に声をかけられ、私は手に持っていたタブレット端末で今日のスケジュールをひとつひとつ確認してゆく。緊張でほとんど寝られなかったと告げると、先輩が「嘘でしょ?」と笑った。その声はゆっくりと空気に呑み込まれていった。
「ロケバス待機のモデルさんメイク終わったみたい。カメラマンさんも準備できたって今メッセージが……すぐ撮影始めたいから、芹沢さん、モデルさん迎えに行ってきてほしい」
そろそろ、ユニセックスラインのキービジュアルの撮影が始まる時間。
先輩から指示が飛び、私は「よし! 今日は精一杯サポートしよう」と、拳をキュッと握りしめるとロケバスへ向かった。ロケバスの周りは、ディレクターやチーフデザイナー、自社コンテンツ動画用にカメラを回すスタッフまで。かなりの人が集まっていた。
私が近づいて声をかけるよりも早く、ロケバスのドアが開く。準備ができたという声と共に、ヘアメイクさんが降りてきたのがチラッと見えた。
続いてモデルが姿を現す。周囲のあちこちから「似合う」と感嘆のため息が漏れ、チーフデザイナーの興奮でうわずった声が響き渡った。
「スタイリングもイメージどおり最高です! 凄い……雰囲気出てる」
モデルのスタイリングは、シンプルなグレーのセットアップ。その上から少しオーバーサイズ気味の白いシャツ。折り返した襟や袖から覗くネイビーとシャーベットオレンジのストライプ裏地が、ゆるっとしたシルエットをキリリと引き締めている。
「えぇやん! 惚れ惚れするイケメンやわぁ。ウチのスタッフ全員、今日惚れるんちゃう?」
ディレクターが満足げに頷くのもわかる。モデルの顔に視線を向ければ、前髪をラフに崩していてもわかる、シャープで甘い顔立ち。透明感を最大限まで引き出すナチュラルメイクが、艶やかな肌に映える。
夜明けの海辺に佇み、朝の光に照らされたら、どれほど美しいだろう。

