[Side 侑樹]
午前一時。
ブロックが敷き詰められた遊歩道のダウンライトが、ぼんやりと足元を照らす。
「この時間は来たことなかったな」
「ふわぁー! 湿気はすごいけど、思ったより気持ちいいかもっ」
隅田川沿いの遊歩道に足を踏み入れると、川の湿った匂いが鼻をくすぐった。
少し先にある橋を渡る車の音が低く響き、ちゃぷん、ちゃぷんと規則的に揺れる波の音と静かに混ざる。
眠れぬ夜の暇つぶしにと、騒がしい隣人と外に出た。目を輝かせ「深夜のコンビニってワンダーランドだよねぇ」と、お菓子を次々かごに入れる彼女を止め、お目当てのアイスだけを買い、目と鼻の先にあるここに足を向けた。
「なぁ。そのアイス、酒でも入ってんの? さっきから深夜のテンションじゃないだろ……」
「え、なんか言った? わぁ! 夜中でも夜景きれいだなぁ。ほら見て見てっ」
「気をつけろって、アイス落とすぞ」
「落とす前に食べ終わるから無問題っ!」
「あぁ、そう……」
「そっちこそ、早く食べないと溶けるよ?」
ああ言えばこう言う彼女がやらかしたら、自己責任でいいか。俺はアイスバーの袋を開けながら、ぐるっと周囲を見回した。ジョギングをする人や、深夜に夜景撮影をするカメラマン……世界が真夜中に沈んでも、ここは静寂とは無縁だ。それでも、対岸のタワーマンションの窓に残る灯りはどこか優しい。
川面に視線を落とせば、揺れる灯りが星のように散らばる。
ゆらゆらと揺れるそれを見ていたら、まどろみの中、飲み込まれそうだと思った。
午前一時。
ブロックが敷き詰められた遊歩道のダウンライトが、ぼんやりと足元を照らす。
「この時間は来たことなかったな」
「ふわぁー! 湿気はすごいけど、思ったより気持ちいいかもっ」
隅田川沿いの遊歩道に足を踏み入れると、川の湿った匂いが鼻をくすぐった。
少し先にある橋を渡る車の音が低く響き、ちゃぷん、ちゃぷんと規則的に揺れる波の音と静かに混ざる。
眠れぬ夜の暇つぶしにと、騒がしい隣人と外に出た。目を輝かせ「深夜のコンビニってワンダーランドだよねぇ」と、お菓子を次々かごに入れる彼女を止め、お目当てのアイスだけを買い、目と鼻の先にあるここに足を向けた。
「なぁ。そのアイス、酒でも入ってんの? さっきから深夜のテンションじゃないだろ……」
「え、なんか言った? わぁ! 夜中でも夜景きれいだなぁ。ほら見て見てっ」
「気をつけろって、アイス落とすぞ」
「落とす前に食べ終わるから無問題っ!」
「あぁ、そう……」
「そっちこそ、早く食べないと溶けるよ?」
ああ言えばこう言う彼女がやらかしたら、自己責任でいいか。俺はアイスバーの袋を開けながら、ぐるっと周囲を見回した。ジョギングをする人や、深夜に夜景撮影をするカメラマン……世界が真夜中に沈んでも、ここは静寂とは無縁だ。それでも、対岸のタワーマンションの窓に残る灯りはどこか優しい。
川面に視線を落とせば、揺れる灯りが星のように散らばる。
ゆらゆらと揺れるそれを見ていたら、まどろみの中、飲み込まれそうだと思った。

