希-コイネガ-う思慕を描きとめる

8.
「盗まれた? しかもまたって⋯⋯そんなに頻繁に盗まれているの?」
「そう。ほぼ毎日。最初は俺がどっかに置いてきたばかりに思っていたんだが、こうも頻繁にあるとそう思うな」
「先生に言ったの?」
「一応言ったが、あんま本気に探してくれる感じじゃなさそうだしな⋯⋯。俺が授業中に寝てるせいかもな」
「そういえばよく寝てるけど、陸上部ってそんなに疲れるの?」

今日も今日とて、授業中に寝ていたことで先生が半ばお怒り気味で起こしに行っていたことを思い出す。
思案するように顎に親指を当てた青葦は「ああ、それのことだが」と前置きをして答えた。

「部活で走っているのもあるかもしれねえけど、家から走っているからかもしれないな」
「へー家から⋯⋯家から!?」

自分でも驚くぐらい素っ頓狂な声が出た。

「え、家からどこまで?」
「学校まで」
「が、学校⋯⋯えーと、どのぐらいかかるの?」
「電車を使うとしたら1時間ぐらいだと思うから、まぁ、30分くらいか?」
「30分⋯⋯!?」