希-コイネガ-う思慕を描きとめる

7.


今日も課題に取り組んでいた。
が、いくら描けども納得いくような絵にはならなかった。
集中力が足りないのだろうか。
気分転換をしようとバッグからいつものスケッチブックを取り出そうとした。

「⋯⋯?」

手に表紙のザラザラとした感触がしなかった。
おかしい。大体この辺りに入れてあるはずなのに。
今度は自身の目で確かめながら再度見たが、あの例のスケッチブックはいくら探しても見つからなかった。
サーッと血の気が引いた。
クラスメートの、最近では青葦ばかり描いているアレを誰かに、本人に見られたら。

──きも。

あの時のような嫌悪感丸出しの顔でそんな言葉を吐かれ、それからクラスメートに晒されるもんなら、社会的に終わらされるかもしれない。
マズイ、と思った時は先生のどうしたのという声に耳は届かず、教室へと駆け出していた。

自分のクラスが見えた頃にはすっかり息が上がっていた。
が、それよりもあのスケッチブックを早く取りに行かねば。
扉を開ける。と、視界に入ったのは部活動に励んでいるはずの青葦の姿があった。
彼しかいない教室は電気は付いておらず、窓からの光が照らされている。
彼の様子から察するに何かを探しているようだ。

「⋯⋯ど、うしたの」

気づけば歩み寄り、声を掛けていた。
彼があまりにも必死だからだ。
青葦と目が合った。何か苛ついているようで、あの時向けられたようなするどい目つきを向けられ、身体を強ばらせた。

「あ? ⋯⋯ああ、月岡だっけか。いや、部活している時、タオルがないことに気づいてさ、探しているところなんだけど、⋯⋯チッ、また盗まれたか」

八つ当たりするように机を叩いた。
その音にビクッと大袈裟に肩が跳ね上がった月岡であったが、気になる言葉を聞いた。