希-コイネガ-う思慕を描きとめる

22.

夏に近づいていくにつれ日が伸び、時間の感覚が曖昧になっていたのもあり、遅くまで部活動に励んでいた。
月岡と他数人が先生に挨拶をし、廊下へと出て行く。
月岡は一人、廊下を歩きながら窓の外を見やる。

いる位置のせいもあるかもしれないが、夕日が見えなかったものの、まだ沈んでいないことを思わせる橙色の空が広がっていた。
外から運動部の声も聞こえないことから、外の部活も終わった頃合いなのだろう。

青葦もとっくに帰ったことだろう。部活動をしていた時、彼の励む姿をチラチラ見ていた。
陸上部も夏に大会がある。青葦自身は余裕で優勝できると思っているかもしれないが、それでも頑張って欲しいと思った。

「⋯⋯⋯」

不意に自分がいる廊下の方へ意識を向けると、数える程であったものの、同じ部活動の人達の姿がなくなり、自分一人となった。
他の人の話し声も足音も聞こえなく、まるでこの世界に自分だけしかいないのだと思わせる。
そう自覚してしまった途端に、耳鳴りのような音が響き、それから背後から"何か"が近づいてくるような感覚がした瞬間、足裏から鳥肌が立つのを感じた月岡は自分だけしかいない廊下を早歩きしていた。

まだそんなに暗くない。怖くない怖くない。

己に言い聞かせていたものの、気づけばやや駆け足気味になっていたその時、自分のクラスに差し掛かった。
何気なく教室を見る。とあるものが目に映った時、一気に鳥肌が立った。

青葦の席に女子らしき人物が立っていた。

視てはならない者がいたのかと思ったが、恐らく月岡の足音で周りを気にして辺りを見回していたその顔を見た時、同じクラスの女子だと分かり、気づかれそうになる前に壁際に身を隠した際にひとまず安心したが、まだ気が抜けなかった。
そーっと顔を半分だけ覗かせ、様子を伺う。