希-コイネガ-う思慕を描きとめる

19.
と、ふとあることを思った。
月岡のこと友達だと言っていたが、もしかしたら月岡のことを避難所だと思ってないだろうか。
だけど、これはチャンスだ。彼の成績のために一役買おうではないか。

「あのさ、僕で良ければ宿題教えてあげるよ」
「え、マジ? 月岡頭良いのか!」
「良いってほどじゃないかな、普通だよ」
「でも、サンキューな。んじゃさっさと食ってから教えてもらうことにするわ」

そう言っていた時には最後のパンの一口であったそれを食べ終えると、自分の席からプリントと筆箱を持って戻ってきた。
やる意欲はあるようだ。

「まだ食ってる最中に(わり)ぃんだけど、一刻を争うんだ」
「いいよ、全然。じゃあこの問題からやろうか」

それから食べつつも教えることになったが。
うんうんと頷いていた青葦をふと何気なく見てみると、あろうことか船を漕いでいたのだ。
本人としては物足りない量の昼食であっただろうが、あれほど食べたのだ。影響がないはずがない。それに目を逸らしていた宿題をやっている。分かっていたことだが、これでは宿題がいつまで経っても終わらない。

「青葦君、起きて。成績落としてこのまま留年してもいいのっ!」
「⋯⋯っ、留年はヤバいっ! これ以上悪くなりたくねぇ!」

ハッと目を覚まし、いそいそとやり始める。が、それも数分程度しか持たず、またウトウトとしている。
これでは埒が明かない。
どうすればいいのだろうか。元々嫌だと逃げていたものを無理やりやっているのだから、集中力が続かないのだろう。
寝ようとした時に手をつねってみる? デコピンとか?いや、そもそもそんなこと青葦にするなんて恐れ多い。

だったら、走りながら解いてもらうとか?