心霊物件に住む幼馴染と暮らしたら、幽霊が俺たちの恋愛応援団になった件

「いい加減にしろ!」
 右へ左へと舞っていた洗濯物が、天城大地(あまぎだいち)の一言でふわりと床に落とされる。
 俺、松崎颯太(まつざきそうた)はその様子をただ黙って見つめるしか出来なかった。
 壁には大量の赤い手形がつけられており、一目で心霊現象だとわかる。
「こんなに散らかして、何を考えているんだ! いいか? 今から出てくるから、帰ってくるまでに綺麗にしておかないと、般若心経唱えるからな!」
 彼が叫ぶ先には誰もおらず、ただただ虚空が広がっていた。
 大地は困ったように眉尻を下げて俺の方を向く。
「悪いな……、颯太。こいつら、人が来るって言うから浮かれ切っているようだ」
 苦笑する彼に俺は引きつった笑みを返した。それ以外、何のリアクションも思いつかなかった。
 今日からしばらくお世話になる、小学校からの友人である大地の家。そこはいわゆる心霊物件で、さっそく怪異に見舞われた。
 本来なら腰を抜かし、震えるしか出来ないところだろうが、対する大地の態度は慣れたものである。幽霊に向かって一喝する彼の姿を見て、俺は幽霊よりも彼の方が怖いと思ってしまったのだった。