「じいさん……あれを。例のやつを頼む」
ブース裏に入ると、じいさんの髭がピクんと揺れた。こいつ……ついにと言った感じか。
俺はじいさんが持って来た小瓶を受け取った。
こいつは、魔力回復ポーションだ。
この交流会が始まると決まってから、道具屋をめぐりまくって買い溜めしまくった品だ。
一本の値段は決して安くない。だが、俺は食堂課に割り当てられた経費の大半を使い大量にストックすることにした。なぜなら自分自身の魔力限界が、食堂課のサービス限界に直結することが分かっていたからだ。
「……いただきます」
俺は震える手で栓を抜き、一気に煽った。
「―――ぶはぁあああ!! まずい!! マズすぎる!!」
鼻から抜ける強烈な薬草臭と、泥水の方がマシなのでは?と思えるような味覚。そして胃を直接焼かれるような熱さ。
この世界のポーションは、もうとにかくマズいの一言につきる。激マズが定番なのだ。
だがこのままでは、おかわりに対応することができない。
だからこそ、俺は禁断の魔力ドーピングと言う最終奥義を発動したのだ。
「うぅうううっぷ」
逆流しそうになる魔力回復ポーションを気合で胃に押し込むと……
空っぽだったはずの魔力回路に、無理やり燃料が注ぎ込まれる感覚がした。神経がバチバチと火花を散らし、視界が異常にクリアになる。おっさんの体に魔力が戻ってきたぞ。
「よっしゃ! 魔力充填完了! ―――現代フード召喚!!」
ブースの裏で、再びポポぽんと弁当が出現する。
よし、いつもの感じで召喚できてるぞ。
「ミーシャ、こっち(裏)で追加をバンバン出すから表でさばいてくれ!」
「は~い。あ、先輩クスリつかったんですね」
新たに召喚した弁当を持っていくミーシャがカラ瓶を見た。
クスリって……なんか表現があれだが、ここは踏ん張りどころだな。
ミーシャが表で弁当を捌き出したのであろう。
「おおお!!」と歓声を上げる騎士たち。俺はそんな声を耳に入れながら、無心で次々と弁当を召喚し続けた。
「ふぅ……とりあえずこんなもんか」
ある程度追加分を召喚したので、ちょっとひと息つこうと手元のスポーツドリンクで喉を潤す。
ああ~~うまい。身体にしみるわ~~。
「せんぱ~い、ちょと困りました~~!」
そこへミーシャが汗だくになって裏に入って来た。
「どうしたんだ? とりあえずこれ飲め」
俺が手渡したスポーツドリンクをグビグビ飲んで、ずり落ちたメガネをクイっとなおしたミーシャ。
「のり弁も食べたいけど、唐揚げも二つくらい乗せてほしいって騎士さまが多すぎます! もうどっちかでおかわり一人一個の制限にしますか? それとも二個渡しちゃいますか?」
「ぬぅ……」
ほく弁にハマっとるやないか。
たしかにその理論にいきつくのはわかる。両方いきたいよな。
この調子で行くとまた俺の魔力が尽きる。かといって彼らの食欲に「NO」と言うのは、なんか嫌だ。なにより、俺自身食いたい時は全部乗せをしたいタイプなんだ。
「……わかった。ならば、その欲求を一つの箱に凝縮してやる」
俺は目を閉じ想像する。普通ののり弁ではない、さらにその上を行く満足感の極致。
「―――現代フード召喚!」
出現したのはいつもの「のり弁」の豪華版だ。白身魚のフライ、ちくわ天というレギュラーメンバーに加え、ホク弁が誇るジューシーな唐揚げが二個。さらに贅沢にタルタルソースまで添えられている。
「ふわぁ~~なんですかこれ。箱が大きい……」
「これはのり弁当デラックスだ」
「で、でらっくす……(じゅるり)」
ミーシャものり弁デラックスの出現にヨダレが止まらないようだな。
俺だって止まらん。てかいますぐがっつきたいわ。
が、その衝動をなんとか抑え込み、のりデラを次々に召喚する。
「おい、見ろよ……なんだあの弁当は!」
「ウソだろおい、のり弁に唐揚げが……合体してやがる!」
「全部入っているじゃないか! まさに夢の箱だ!!」
そとで並ぶ騎士たちから驚愕の声があがりはじめた。
そりゃそうだ、のりデラックスが降臨した以上、その食欲を止めることなんかできない。
瞬く間にのりデラの噂は演習場内に広がった。
弁当ブースにむらがる騎士たち。
「先輩~~ぃ! のりデラックス、100個追加入りましたぁああ!!」
「ふはぁ……っ、魔力が……また足りねぇ! じいさん、次だ!」
こうして俺のブラック魔力ドーピング勤務がはじまった。
ポーションのむぅううう! クピっ、マズイ!
「―――現代フード召喚!」
まだまだ飲むぅううう! グイっ……おえっ!
「―――現代フード召喚んん!」
ガンガン飲む飲む~~!! うぐはぁ!!
「―――現代フード召喚んんんんん!」
俺は魔力ポーションを飲む→召喚する、という地獄ループに入っていた。もはや弁当生産マシーンだ。 ポーションの過剰摂取で耳の奥ではキーンという耳鳴りがし、心臓はドラムのように激しく鼓動している。
「先輩、のりデラックスあと100個追加です!」
「こいや~~まだまだぁあああ! 食わせてやる……全員、デラックスにしてやるよ!!」
演習場の端にある配給ブースからは、もはやリレーの時以上の気迫が立ち昇る。
「―――現代フード召喚んんんんん!!」
ずっと厨房で叫び続ける俺であった。
なんだこれ、ブラックやん……
全部終わったら、ぜったい有給まとめ取りしてぶらぶらダラダラするからなぁ!
ブース裏に入ると、じいさんの髭がピクんと揺れた。こいつ……ついにと言った感じか。
俺はじいさんが持って来た小瓶を受け取った。
こいつは、魔力回復ポーションだ。
この交流会が始まると決まってから、道具屋をめぐりまくって買い溜めしまくった品だ。
一本の値段は決して安くない。だが、俺は食堂課に割り当てられた経費の大半を使い大量にストックすることにした。なぜなら自分自身の魔力限界が、食堂課のサービス限界に直結することが分かっていたからだ。
「……いただきます」
俺は震える手で栓を抜き、一気に煽った。
「―――ぶはぁあああ!! まずい!! マズすぎる!!」
鼻から抜ける強烈な薬草臭と、泥水の方がマシなのでは?と思えるような味覚。そして胃を直接焼かれるような熱さ。
この世界のポーションは、もうとにかくマズいの一言につきる。激マズが定番なのだ。
だがこのままでは、おかわりに対応することができない。
だからこそ、俺は禁断の魔力ドーピングと言う最終奥義を発動したのだ。
「うぅうううっぷ」
逆流しそうになる魔力回復ポーションを気合で胃に押し込むと……
空っぽだったはずの魔力回路に、無理やり燃料が注ぎ込まれる感覚がした。神経がバチバチと火花を散らし、視界が異常にクリアになる。おっさんの体に魔力が戻ってきたぞ。
「よっしゃ! 魔力充填完了! ―――現代フード召喚!!」
ブースの裏で、再びポポぽんと弁当が出現する。
よし、いつもの感じで召喚できてるぞ。
「ミーシャ、こっち(裏)で追加をバンバン出すから表でさばいてくれ!」
「は~い。あ、先輩クスリつかったんですね」
新たに召喚した弁当を持っていくミーシャがカラ瓶を見た。
クスリって……なんか表現があれだが、ここは踏ん張りどころだな。
ミーシャが表で弁当を捌き出したのであろう。
「おおお!!」と歓声を上げる騎士たち。俺はそんな声を耳に入れながら、無心で次々と弁当を召喚し続けた。
「ふぅ……とりあえずこんなもんか」
ある程度追加分を召喚したので、ちょっとひと息つこうと手元のスポーツドリンクで喉を潤す。
ああ~~うまい。身体にしみるわ~~。
「せんぱ~い、ちょと困りました~~!」
そこへミーシャが汗だくになって裏に入って来た。
「どうしたんだ? とりあえずこれ飲め」
俺が手渡したスポーツドリンクをグビグビ飲んで、ずり落ちたメガネをクイっとなおしたミーシャ。
「のり弁も食べたいけど、唐揚げも二つくらい乗せてほしいって騎士さまが多すぎます! もうどっちかでおかわり一人一個の制限にしますか? それとも二個渡しちゃいますか?」
「ぬぅ……」
ほく弁にハマっとるやないか。
たしかにその理論にいきつくのはわかる。両方いきたいよな。
この調子で行くとまた俺の魔力が尽きる。かといって彼らの食欲に「NO」と言うのは、なんか嫌だ。なにより、俺自身食いたい時は全部乗せをしたいタイプなんだ。
「……わかった。ならば、その欲求を一つの箱に凝縮してやる」
俺は目を閉じ想像する。普通ののり弁ではない、さらにその上を行く満足感の極致。
「―――現代フード召喚!」
出現したのはいつもの「のり弁」の豪華版だ。白身魚のフライ、ちくわ天というレギュラーメンバーに加え、ホク弁が誇るジューシーな唐揚げが二個。さらに贅沢にタルタルソースまで添えられている。
「ふわぁ~~なんですかこれ。箱が大きい……」
「これはのり弁当デラックスだ」
「で、でらっくす……(じゅるり)」
ミーシャものり弁デラックスの出現にヨダレが止まらないようだな。
俺だって止まらん。てかいますぐがっつきたいわ。
が、その衝動をなんとか抑え込み、のりデラを次々に召喚する。
「おい、見ろよ……なんだあの弁当は!」
「ウソだろおい、のり弁に唐揚げが……合体してやがる!」
「全部入っているじゃないか! まさに夢の箱だ!!」
そとで並ぶ騎士たちから驚愕の声があがりはじめた。
そりゃそうだ、のりデラックスが降臨した以上、その食欲を止めることなんかできない。
瞬く間にのりデラの噂は演習場内に広がった。
弁当ブースにむらがる騎士たち。
「先輩~~ぃ! のりデラックス、100個追加入りましたぁああ!!」
「ふはぁ……っ、魔力が……また足りねぇ! じいさん、次だ!」
こうして俺のブラック魔力ドーピング勤務がはじまった。
ポーションのむぅううう! クピっ、マズイ!
「―――現代フード召喚!」
まだまだ飲むぅううう! グイっ……おえっ!
「―――現代フード召喚んん!」
ガンガン飲む飲む~~!! うぐはぁ!!
「―――現代フード召喚んんんんん!」
俺は魔力ポーションを飲む→召喚する、という地獄ループに入っていた。もはや弁当生産マシーンだ。 ポーションの過剰摂取で耳の奥ではキーンという耳鳴りがし、心臓はドラムのように激しく鼓動している。
「先輩、のりデラックスあと100個追加です!」
「こいや~~まだまだぁあああ! 食わせてやる……全員、デラックスにしてやるよ!!」
演習場の端にある配給ブースからは、もはやリレーの時以上の気迫が立ち昇る。
「―――現代フード召喚んんんんん!!」
ずっと厨房で叫び続ける俺であった。
なんだこれ、ブラックやん……
全部終わったら、ぜったい有給まとめ取りしてぶらぶらダラダラするからなぁ!

