「皆様。喉が潤ったところで、お茶に合うお菓子もお持ちしました」
俺がそう告げると、メイド服姿のミーシャとルリアが再び給仕ワゴンを押して入室する。銀のトレイを恭しくテーブルの上に並べ始めた。
臨時会議場となっている室内練習場に、再びざわめきが広がる。
さっきのカフェオレや抹茶オレ、さらに熱茶である程度の好評を得たつもりだが、まだ飲み物の段階だ。騎士団幹部たちにとって、ぶっちゃけお茶や茶菓子などにはあまり興味のない者も多いだろう。
でも、せっかくの機会なんだ。
ここは存分に味わってもらおうじゃないか。うまいものを。
おっと……
俺を左遷した張本人であるゼクス庶務課団長が、眼鏡の奥の瞳を険しく光らせて俺を凝視している。
「……ふん。飲み物で少々目先を変えたところで、所詮は三等騎士レベルの菓子であろう」
「ええ重々承知しております、ゼクス団長。ですが手を抜くわけにはいきませんので」
俺は不敵に微笑み、2人に合図を送った。
トレイの上にかぶせた蓋を取りはじめるミーシャとルリア。
「まあ~~ミーシャさん、これはプリンですわね!」
「はい、王女殿下。食堂課プリンです、とっても美味しいですよ」
そう、俺たちが出したのはプリンである。
「ふむ……プリンか」
「まあ、これだけの数を揃えるのは大変だったであろう」
会議室全体のテンションは可もなく不可もなく普通。
それもそのはず、じつはこの異世界にもプリンは存在する。特段めずらしい菓子でもないのだ。
「わぁ~~い、いただきますわ~~♪」
速攻でプリンに手を付けるステア王女。がんがん率先して食ってくれるので、非常にありがたい。
「……はうっ!?」
王女の動きがピタリと止まった。そのかわいらしい瞳がパッと大きく開いた。
「んん? どうされました姫さま?」
「いや、まて……これは!?」
まわりの幹部たちがざわめきはじめる。
そう、俺はその理由を知っている。
「なんですのこれ……スルスルとお口に入りますわ!?」
「あらあら~~本当ですね~~んん~~いいわぁ~タケオちゃん♡」
この世界のプリンはクソかたいのだ。
一度食べたが、ヨウカンと間違えるほどのかたさだった。まあ、そういうものとして食べてもいいんだが……
やはり、プリンと言えばやわらかいだろ。
「な、な、なんだこれは!?」
「ふぉ、スプーンが勝手に進むぞ!」
「……これは、私の知っているプリンとは別物だ」
周囲の騎士団長たちも一口食べた瞬間に「……ほうっ」と溜息を漏らし、無言でスプーンを動かし始めた。
ふふ、そりゃそうだ。今回俺が召喚したのは現代フードが誇る、やわらかプリンだ。
べつに高級店舗のものを召喚したわけでなく、コンビニで売っているごくごく普通のプリンだけどな。
「んん~~~甘くてやわらかい~幸せですわ~♪」
「タケオちゃん~~これ、今後は毎回会議でだして♡」
王女とフルノラ団長の絶賛に続き普段はそこまで菓子を食わないであろう騎士団長クラスのおっさんたちも、無言でスプーンを動かしている。
ゼクスも忌々しそうに一口食べた瞬間、眉間の皺がほんの一瞬だけ緩んだのを俺は見逃さなかった。
うまいものはうまい。
ただそれだけだ。
さてさて、まずはこの世界にあるもので舌を躍らせてもらったが、次はまったく未知の味を経験してもらおうか。
「さて、お次は……おそらく、皆様が一度も目にしたことがないであろう一品です」
ミーシャとルリアが運んできたのは、真っ白で赤ちゃんの頬のように柔らかな丸い塊。そのいただきには、鮮やかな赤い果実がちょこんと顔を出している。
「なんですの、この可愛らしいものは~~?」
「なんだこれは? 雪……か」
「いや、新種のスライムなのでは?」
興味津々のステア王女に、未知のものに困惑する団長および副団長たち。
ステア王女が、おそるおそる指先で白い塊をつついてみる。
「ぷにぷに! ぷにぷにですわ!」
「これはいちご大福というお菓子です。外側は極限まで柔らかく練り上げた餅生地で、中にはアンという豆を炊き上げた甘いペーストと、生のイチゴが丸ごと一粒入っております」
俺はあらかじめ半分に切ったイチゴ大福をパカッとみんなのまえで開けて見せた。
「まあ~~イチゴがそのまま入ってますのね~~♪ いただきますわ~」
さっきからテンション上がりまくりの王女殿下が、我慢できないといった感じでパクリと頭から大福にかじりついた。
うむ、この人の食べ方好きだな。見てるこっちも食いたくなる。
「……んむっ」
次の瞬間、彼女の顔がパッと輝いた。
そして、見る見るうちにその大きな瞳が潤み始める。
「ふはぁ~~っ! モチモチ感とアンの優しい甘さ……そこへイチゴの甘酸っぱい果汁がジュワッとお口の中で弾けて……美味しいですわ~~♪」
至福の笑顔でイチゴ大福を頬張る王女。
その横ではフルノラ団長と剣姫シュトリアーナもイチゴ大福をたっぷり堪能している。
「うぉ……なんだこの食感は……」
「うむ、甘さと酸っぱさが見事であるな」
「こんな味は我が騎士団の町にはないぞ」
王女の食べっぷりをみていた団長たちも、次々に手をのばしはじめた。
またゼクスも大福の粉を口につけて「ぬぐぐ……」と唸っている。
「ムグムグ」という音のみが会議室に広がっていく。
どうやら未知の美味さを堪能してもらっているようだな。
「た、タケオ殿。すまんが緑茶のおかわりを!」
「わしはほうじ茶で!」
うんうん、大福に熱い茶とか最高以外のなにものでもない。
しかし……甘い、甘い、うまいの波。
ステア王女をはじめ騎士団幹部たちは至福の表情を浮かべているが、流石にこれほど濃厚な甘味が続くと口の中が少しばかり重くなってくる頃だ。
俺たちはおかわりの飲み物を用意しつつ。あらたな物をみんなのまえに配る。
「あら? こちらはなんでしょうか、随分と硬いですわ」
ステア王女が出されたものを手に取り、少しばかりツンツンしている。
出されたのは、茶色い硬そうな平たい円盤状のもの。そして立ち込めるのは甘い香りではなく、香ばしい香りだ。
そう、こいつが本日最後の出し物だ。
「こちらはおせんべいです。米を焼き固め醤油というタレを塗ったものです」
バリッ!!
俺の説明が終わるやいなや、ステア王女が豪快にせんべいをかじる。
「……あ! さっぱりした塩気と、この香ばしさ……! 甘いものが続いていたお口が、一瞬ですっきりしますわ。それにこの食感、バリバリとしていておもしろいですわ♪」
ははっ、この王女は本当にうまそうに食ってくれる。
そう、せんべいなんて豪快にバリバリいくもんだからな。
「あらまあ~~確かにお口がさっぱりねぇ~さすがタケオちゃん♡」
「む……これいちばん好きかも」
フルノラ団長がウフフと妖艶な笑みをうかべ、剣姫シュトリアーナはせんべいが気に入ったようだ。
この最後に出したおせんべいだが、実はおっさん騎士団長たちに最も深く刺さった。
「……これだ。私はこういうのを待っていたんだ」
「うむ……この香ばしさ。熱い緑茶に最高に合う!」
「バリバリ……バリバリバリバリ!」
ものすごくバリバリ食いまくっている。
会議室の空気はもはやお茶出し前とは一変していた。張り詰めていた殺気は消え、そこにはうまかった~~という純粋な笑みが広がっている。
よしよし。
俺たちの仕事は無事に完了したようだ。
「ああぁ~~とても満足ですわ。タケオさん、本当に素晴らしいお時間でしたわ♪」
ステア王女が、ハンカチで口元を拭いながら満面の笑みを浮かべる。
「恐縮です、王女殿下。ですが私一人の力ではありません。完璧な給仕をしてくれたミーシャとルリア、そして裏方で支えてくれた職人(じいさん)の力があってこそです」
俺がそう言って振り返ると、ミーシャとルリアが誇らしげに胸を張った。
「そうですわね~~グルト辺境三等騎士団食堂課のみなさま、たいへん美味しゅうございましたわ」
「ああ、うまかった!」
「すばらしい働きぶりだ!」
会議テーブルの各所から賞賛の声があがる。そして端の方に視線を向けると……
一人完食した皿を前にして、石のように固まっているゼクスがいた。
彼は自分が追い出した無能が、自分の理解を遥かに超える手腕で王国の重鎮たちを手なずけてしまった現実を突きつけられていた。
とでも思っているのだろうか。
ま、ぶっちゃけ俺には関係ないがな。
俺の所属はかつての本部庶務課じゃない。
ここグルト辺境三等騎士団食堂課だから。
「さて、皆様。食堂課はここで失礼いたします。明日は交流会での昼食、そして夕食とこの食堂課一同でせいいっぱいのおもてなしをさせて頂きますので」
俺が深く一礼して会議室を退出すると、背後から割れんばかりの拍手が沸き起こった。
「先輩~~初日大成功でしたね♪」
「ですです~~みんな明日も期待してますよ、タケオさん」
「ああ、ミーシャにルリア。良く頑張ってくれた。ありがとな」
成功したのはいいが、期待が爆上がりになってしまったな。
ムフフ、現代フードの恐ろしさは……まだまだこんなもんじゃないぜ。
だが、それは明日のお話し。
今日はもうじゅんぶん仕事したから―――
「んじゃ、景気づけに俺らも大福食っとくか」
「やた~~もう食べたくて食べたくてヨダレ垂れそうでしたよ先輩~~」
「わぁ~~い。わたしプリンも食べたいです。タケオさん!」
「…………バリボリ」
ミーシャとルリアにありったけの大福とプリンを出してと……
じいさんはすでにせんべいバリバリいっとる。
よっしゃ、俺もいっぱい食っとくぞ~~!
こうして俺たちの初日は幕をおろすのであった。
俺がそう告げると、メイド服姿のミーシャとルリアが再び給仕ワゴンを押して入室する。銀のトレイを恭しくテーブルの上に並べ始めた。
臨時会議場となっている室内練習場に、再びざわめきが広がる。
さっきのカフェオレや抹茶オレ、さらに熱茶である程度の好評を得たつもりだが、まだ飲み物の段階だ。騎士団幹部たちにとって、ぶっちゃけお茶や茶菓子などにはあまり興味のない者も多いだろう。
でも、せっかくの機会なんだ。
ここは存分に味わってもらおうじゃないか。うまいものを。
おっと……
俺を左遷した張本人であるゼクス庶務課団長が、眼鏡の奥の瞳を険しく光らせて俺を凝視している。
「……ふん。飲み物で少々目先を変えたところで、所詮は三等騎士レベルの菓子であろう」
「ええ重々承知しております、ゼクス団長。ですが手を抜くわけにはいきませんので」
俺は不敵に微笑み、2人に合図を送った。
トレイの上にかぶせた蓋を取りはじめるミーシャとルリア。
「まあ~~ミーシャさん、これはプリンですわね!」
「はい、王女殿下。食堂課プリンです、とっても美味しいですよ」
そう、俺たちが出したのはプリンである。
「ふむ……プリンか」
「まあ、これだけの数を揃えるのは大変だったであろう」
会議室全体のテンションは可もなく不可もなく普通。
それもそのはず、じつはこの異世界にもプリンは存在する。特段めずらしい菓子でもないのだ。
「わぁ~~い、いただきますわ~~♪」
速攻でプリンに手を付けるステア王女。がんがん率先して食ってくれるので、非常にありがたい。
「……はうっ!?」
王女の動きがピタリと止まった。そのかわいらしい瞳がパッと大きく開いた。
「んん? どうされました姫さま?」
「いや、まて……これは!?」
まわりの幹部たちがざわめきはじめる。
そう、俺はその理由を知っている。
「なんですのこれ……スルスルとお口に入りますわ!?」
「あらあら~~本当ですね~~んん~~いいわぁ~タケオちゃん♡」
この世界のプリンはクソかたいのだ。
一度食べたが、ヨウカンと間違えるほどのかたさだった。まあ、そういうものとして食べてもいいんだが……
やはり、プリンと言えばやわらかいだろ。
「な、な、なんだこれは!?」
「ふぉ、スプーンが勝手に進むぞ!」
「……これは、私の知っているプリンとは別物だ」
周囲の騎士団長たちも一口食べた瞬間に「……ほうっ」と溜息を漏らし、無言でスプーンを動かし始めた。
ふふ、そりゃそうだ。今回俺が召喚したのは現代フードが誇る、やわらかプリンだ。
べつに高級店舗のものを召喚したわけでなく、コンビニで売っているごくごく普通のプリンだけどな。
「んん~~~甘くてやわらかい~幸せですわ~♪」
「タケオちゃん~~これ、今後は毎回会議でだして♡」
王女とフルノラ団長の絶賛に続き普段はそこまで菓子を食わないであろう騎士団長クラスのおっさんたちも、無言でスプーンを動かしている。
ゼクスも忌々しそうに一口食べた瞬間、眉間の皺がほんの一瞬だけ緩んだのを俺は見逃さなかった。
うまいものはうまい。
ただそれだけだ。
さてさて、まずはこの世界にあるもので舌を躍らせてもらったが、次はまったく未知の味を経験してもらおうか。
「さて、お次は……おそらく、皆様が一度も目にしたことがないであろう一品です」
ミーシャとルリアが運んできたのは、真っ白で赤ちゃんの頬のように柔らかな丸い塊。そのいただきには、鮮やかな赤い果実がちょこんと顔を出している。
「なんですの、この可愛らしいものは~~?」
「なんだこれは? 雪……か」
「いや、新種のスライムなのでは?」
興味津々のステア王女に、未知のものに困惑する団長および副団長たち。
ステア王女が、おそるおそる指先で白い塊をつついてみる。
「ぷにぷに! ぷにぷにですわ!」
「これはいちご大福というお菓子です。外側は極限まで柔らかく練り上げた餅生地で、中にはアンという豆を炊き上げた甘いペーストと、生のイチゴが丸ごと一粒入っております」
俺はあらかじめ半分に切ったイチゴ大福をパカッとみんなのまえで開けて見せた。
「まあ~~イチゴがそのまま入ってますのね~~♪ いただきますわ~」
さっきからテンション上がりまくりの王女殿下が、我慢できないといった感じでパクリと頭から大福にかじりついた。
うむ、この人の食べ方好きだな。見てるこっちも食いたくなる。
「……んむっ」
次の瞬間、彼女の顔がパッと輝いた。
そして、見る見るうちにその大きな瞳が潤み始める。
「ふはぁ~~っ! モチモチ感とアンの優しい甘さ……そこへイチゴの甘酸っぱい果汁がジュワッとお口の中で弾けて……美味しいですわ~~♪」
至福の笑顔でイチゴ大福を頬張る王女。
その横ではフルノラ団長と剣姫シュトリアーナもイチゴ大福をたっぷり堪能している。
「うぉ……なんだこの食感は……」
「うむ、甘さと酸っぱさが見事であるな」
「こんな味は我が騎士団の町にはないぞ」
王女の食べっぷりをみていた団長たちも、次々に手をのばしはじめた。
またゼクスも大福の粉を口につけて「ぬぐぐ……」と唸っている。
「ムグムグ」という音のみが会議室に広がっていく。
どうやら未知の美味さを堪能してもらっているようだな。
「た、タケオ殿。すまんが緑茶のおかわりを!」
「わしはほうじ茶で!」
うんうん、大福に熱い茶とか最高以外のなにものでもない。
しかし……甘い、甘い、うまいの波。
ステア王女をはじめ騎士団幹部たちは至福の表情を浮かべているが、流石にこれほど濃厚な甘味が続くと口の中が少しばかり重くなってくる頃だ。
俺たちはおかわりの飲み物を用意しつつ。あらたな物をみんなのまえに配る。
「あら? こちらはなんでしょうか、随分と硬いですわ」
ステア王女が出されたものを手に取り、少しばかりツンツンしている。
出されたのは、茶色い硬そうな平たい円盤状のもの。そして立ち込めるのは甘い香りではなく、香ばしい香りだ。
そう、こいつが本日最後の出し物だ。
「こちらはおせんべいです。米を焼き固め醤油というタレを塗ったものです」
バリッ!!
俺の説明が終わるやいなや、ステア王女が豪快にせんべいをかじる。
「……あ! さっぱりした塩気と、この香ばしさ……! 甘いものが続いていたお口が、一瞬ですっきりしますわ。それにこの食感、バリバリとしていておもしろいですわ♪」
ははっ、この王女は本当にうまそうに食ってくれる。
そう、せんべいなんて豪快にバリバリいくもんだからな。
「あらまあ~~確かにお口がさっぱりねぇ~さすがタケオちゃん♡」
「む……これいちばん好きかも」
フルノラ団長がウフフと妖艶な笑みをうかべ、剣姫シュトリアーナはせんべいが気に入ったようだ。
この最後に出したおせんべいだが、実はおっさん騎士団長たちに最も深く刺さった。
「……これだ。私はこういうのを待っていたんだ」
「うむ……この香ばしさ。熱い緑茶に最高に合う!」
「バリバリ……バリバリバリバリ!」
ものすごくバリバリ食いまくっている。
会議室の空気はもはやお茶出し前とは一変していた。張り詰めていた殺気は消え、そこにはうまかった~~という純粋な笑みが広がっている。
よしよし。
俺たちの仕事は無事に完了したようだ。
「ああぁ~~とても満足ですわ。タケオさん、本当に素晴らしいお時間でしたわ♪」
ステア王女が、ハンカチで口元を拭いながら満面の笑みを浮かべる。
「恐縮です、王女殿下。ですが私一人の力ではありません。完璧な給仕をしてくれたミーシャとルリア、そして裏方で支えてくれた職人(じいさん)の力があってこそです」
俺がそう言って振り返ると、ミーシャとルリアが誇らしげに胸を張った。
「そうですわね~~グルト辺境三等騎士団食堂課のみなさま、たいへん美味しゅうございましたわ」
「ああ、うまかった!」
「すばらしい働きぶりだ!」
会議テーブルの各所から賞賛の声があがる。そして端の方に視線を向けると……
一人完食した皿を前にして、石のように固まっているゼクスがいた。
彼は自分が追い出した無能が、自分の理解を遥かに超える手腕で王国の重鎮たちを手なずけてしまった現実を突きつけられていた。
とでも思っているのだろうか。
ま、ぶっちゃけ俺には関係ないがな。
俺の所属はかつての本部庶務課じゃない。
ここグルト辺境三等騎士団食堂課だから。
「さて、皆様。食堂課はここで失礼いたします。明日は交流会での昼食、そして夕食とこの食堂課一同でせいいっぱいのおもてなしをさせて頂きますので」
俺が深く一礼して会議室を退出すると、背後から割れんばかりの拍手が沸き起こった。
「先輩~~初日大成功でしたね♪」
「ですです~~みんな明日も期待してますよ、タケオさん」
「ああ、ミーシャにルリア。良く頑張ってくれた。ありがとな」
成功したのはいいが、期待が爆上がりになってしまったな。
ムフフ、現代フードの恐ろしさは……まだまだこんなもんじゃないぜ。
だが、それは明日のお話し。
今日はもうじゅんぶん仕事したから―――
「んじゃ、景気づけに俺らも大福食っとくか」
「やた~~もう食べたくて食べたくてヨダレ垂れそうでしたよ先輩~~」
「わぁ~~い。わたしプリンも食べたいです。タケオさん!」
「…………バリボリ」
ミーシャとルリアにありったけの大福とプリンを出してと……
じいさんはすでにせんべいバリバリいっとる。
よっしゃ、俺もいっぱい食っとくぞ~~!
こうして俺たちの初日は幕をおろすのであった。

