左遷された転生おっさん三等騎士、【現代フード召喚】でうまうま辺境スローライフ勤務を冷酷剣姫やポンコツ美少女精霊使いたちと謳歌する~食文化の遅れた異世界で現代フード出しまくり~

 「あらあら~シュトちゃんたらぁ~おいたですか~ひさしぶりにお仕置きかしら~~♪」

 フルノラ団長が腰の剣を優雅に抜く。
 俺は剣の素人だがそんなおっさんでも分かるぐらい、その所作にジワリと凄みを感じる。

 「……ふん」

 そんな団長に対して、剣姫シュトリアーナが冷たく笑った。
 彼女もまた、鞘から剣を抜く。
 剣姫の中身は横に置いておくとして、その強さは本物だ。本部の演習とかに同行した際に、毎回この人は人間?って疑問がわくぐらいヤバイ。

 「こんな辺境のぬるま湯につかっているあなたに、もはやその力はあるまい。そのだらしない身体……鍛錬を怠ったようだな」

 鍛錬不足からそんなムチムチボディになるかわからんが、そんな剣姫の挑発に……
 フルノラ団長の目つきが変わった。

 次の瞬間。

 ―――シャッ
 ―――シャッ

 ……ん?

 「え、ちょっと」

 ―――シャッ
 ―――シャッ

 一瞬で視界から2人が消えた。
 床が揺れ、壁が悲鳴を上げ、空気が震える。
 そして―――剣閃が、音が、気配が、そのすべてが同時に押し寄せてきた。

 なんてカッコいい感じで言ってみたが、ようするにおっさんにはなんも見えない。
 影っぽい何かがシャッシャッいうとる。

 「な、なんだこれ……」

 俺はその場でよくわからんシャッシャッに棒立ちしている。

 「あらぁ~~シュトちゃんってばさらに鋭くビンビンになってるじゃない~♡」
 「ふん、さすが元剣聖……うでは鈍ってなかったか」

 はい? 

 ええぇえ、このムチムチ団長……剣聖だったんかい。

 しかも、剣姫シュトリアーナの師匠。
 つまりとんでもない二人ってことか。

 剣の道を目指す騎士なら、心の奥底から震える場面なのだろう。
 普通の騎士団員ならば、この頂を見て震えないやつなどいないのかもしれない。

 わるい。

 おっさんあんま興味ないや。

 むろん騎士団員(おもに内勤騎士)としての仕事はきっちりする。が、剣に対してぶっちゃけ思い入れとか言われてもないからなぁ。俺はここでのんびりスローライフ勤務を楽しみたいんだ。
 もうすぐ定時だし、ここでシャッシャッやられても困るんだよな。

 ていうか2人とも、なんでこんな辺境ゆるゆる騎士団にいるんだ。むしろそっちの方が気になる。
 あんたらの力を発揮する場所はここじゃないだろ。

 ―――すたっ!
 ―――すたっ!

 2人の騎士が動きを止めた。

 「あらあら~~ここまで成長しているなんてぇ~嬉しいわぁ~~」
 「ふぅ……一撃で決められない」

 再び対峙する剣姫シュトリアーナとフルノラ団長(元剣聖)。
 2人は互いに鋭い視線を交差させる。

 さて、白熱しているところ悪いんだが……
 止まってくれたことで、狙いが正確に付けられる。

 俺は魔力を練って、唯一の能力を発動した。


 「―――現代フード召喚×現代フード召喚!!」


 「あふぁっ♡」
 「んむっ!?」

 2人の動きが止まる。
 むろん俺の剣で止めたわけではない。そもそも俺の剣は竹光やし。

 俺がやったのは、現代フード2個同時召喚―――そう俺は剣姫の口にハンバーガーをフルノラ団長の口にシュークリームを直接召喚したのだ。

 どうだ、大好物の直接投入は?

 「タケオちゃんったらぁ~直接お口に~~♡」
 「た、タケオぉお~! 無理やりはダメぇ~~♡」

 よし、言い方はアレだが効果てきめんだったようだな。

 だが、こんなもんじゃ終わらせないぜ。
 いい機会だ。徹底的に叩き込んでやる。

 「――――――現代フード連続召喚!!」

 ぽぽぽんっと、ハンバーガーが剣姫の口に突っ込まれていく。

 ―――ハンバーガー!
 ―――チーズバーガー!
 ―――テリヤキバーガー!

 「んはぁあ~~いっぱいきた~~♡」

 まだまだぁ~~さらにぃいい~
 ―――ダブルバーガー!
 ―――チーズダブルバーガー!
 ―――テリヤキダブルバーガー!

 「ダブルうぅうう~~おいしいぃい♡」

 剣姫シュトリアーナは剣をほっぽり出して、ハンバーガーを夢中でほおばりまくる。
 よし、お次は団長だな。

 「覚悟してもらおうか……フルノラ団長」
 「あらあぁ~ん、ワタシはシュトちゃんみたいに簡単に堕ちないわよぉ~」

 ほう……面白い。

 「ならば元剣聖とやらの力を……見せてもらおうか!
 ――――――現代フード連続召喚!!」

 団長に召喚したのは、もちろん彼女がお気に入りのシュークリームだ。

 ―――シュークリーム(生クリーム)!
 ―――シュークリーム(カスタード)!
 ―――シュークリーム(チョコレート)!

 「はふぅんん♡ なにこれさからえないいぃいい~~♡」

 よしダメ押しだ、こっちもダブルいってみるか。
 色香は消せないが、食欲で覆いかぶせてやる。

 ―――ダブルクリーム(カスタード×生クリーム)!
 ―――ダブルクリーム(カスタード×チョコ)!
 ―――ダブルクリーム(マロン×生クリーム)!

 「やぁああああ~~あふぅ~も、もうダメぇ~~♡」

 ふむ、こんなもんか。

 「んはぁ~~♡♡」
 「あふぅ……♡♡」

 二人とも完全に戦闘不能だ。
 こうして冷酷氷剣姫シュトリアーナとムチムチ団長(元剣聖)フルノラは、さらに深く堕ちていった。

 「……ふぅ」

 なんか俺も腹減っちゃったよ。
 ハンバーガーとシュークリーム食べよう~~っと。

 おお、やっぱダブルバーガーいけるな! このずっしりした感じが最高!
 シュークリームも久々に食ったがよい。カスタードとホイップクリームのダブルとか美味すぎるわ。

 俺が満足して食べ終わった頃には、団長たちも正気に戻っていた。

 「タケオちゃん♡」
 「タ、タケオ……」

 フルノラ団長が囁き、剣姫も顔を赤くする。

 「これは二人だけの、ひ・み・つ♡」
 「今日のことは絶対に言うな。約束を破ったら……今日の部分だけ脳を斬る」

 こうして俺は剣姫に加えて、ムチムチ団長(元剣聖)へのうまうま担当という秘密の仕事が増えたのであった。