2学期が始まった。
始業式が終わり、生徒会長からの挨拶。
どうやら、生徒会選挙が行われるらしい。
これから選挙期間に入り、1週間後に立会演説会と投票。
隣の女子たちの話声で、ウチの学校の選挙が、どんなものかが分かった。
「選挙って言っても、ポスターも朝の演説も無い。
この学校の生徒会は、2年生の成績上位5人がなる。1位が会長、2位が副会長みたいに。だから選挙期間も短いし、選挙活動もしない。」
「じゃあ私たちは何をするの?」
「◯か✕かを書くだけ。相当なことがない限り落ちる人がいない選挙ってこと」
なるほど…
体育館から教室に戻る人の流れの中、僕は太郎君を探した。
見つからない。ため息が出る。
休み時間、1組を通りかかるが太郎君は見つからない。休みなのか?
自分から誰かに話かけるのは、勇気がいる。だけど、だけど、聞くしかない。
僕は、廊下に出て来た1組の男子生徒に、話しかけた。
「ごめん、あの、このクラスにいる太郎君って子、今日いますか」
「太郎?そんなヤツいたかな?」
そう言って、トイレの方に行ってしまった。
今更、夏休みに名字を聞いていなかったことを、後悔した。
それから毎日、1組の教室前をウロウロしに行ったが、みつからない。
そして1週間が過ぎ、立会演説会となった。
全校生徒が体育館に集まる。
僕は、始まる前のざわつきの中、1組と2組の間を前から歩いた。
最後尾まで歩いたが太郎君はいなかった。1組の生徒に、休みの生徒はいるか確認した。
「いない」
いない。
太郎君がいない。
いない。
いないはずは、ない。
夏休み、太郎君は確かにいた。
1組と言っていたし、学校の話もした。
先生の話、委員会の話、校舎の話。
僕は、友達だと言ってくれた、太郎君との会話を思い出していた。
ふらふらと自分のクラスの列に戻る。
無意識に涙がこみ上げる。
涙をこらえる、息苦しい。
立会演説会が始まった。
それぞれの候補者と推薦人がスピーチをしている。
僕は体育座りをしながら、足に顔をうずめていた。
どこかで聞いたことのあるスピーチばかり。投票用紙に、◯を書くことは、もう決まっている。
太郎君に会いたい。なのにもう会えない。
どうして?
それってどういうことなの?
そんなことを考えていると急に引っかかるワードが出てきた。
「花壇を壊し駐輪場を広げる」
えっ?壇上をみると、七三分けのメガネ、いかにも真面目そうな会長候補者がスピーチしていた。
僕は緑化委員長を探した。何か事前に話を聞いているかも…
2年生の列の中にみつけたが、特に気にしてる様子もない。
他の緑化委員を探すが見つからない。
そもそも緑化委員は5名の最少人数で組織されている。
特に花が好きというメンバーではなく、僕と同じ部活の代わりに入ったメンバーばかりだ。
投票時間。
配られた投票用紙に、僕は都野会長候補にだけ✕とかいた。即座に回収され、その場で開票される。
過半数を超えると当選確定となる。
全員の当選が確定となり、5名が登壇し、一斉に礼をした。
当たり前だけど、僕が✕したくらいじゃ何も変わらない。
花壇を壊して駐輪場を広げる。
これは本当に現実になってしまうのだろうか?
あの花壇には、もう20年以上前からある南天の木がある。壊されてしまったら、南天の木はどうなってしまうのだろう。
始業式が終わり、生徒会長からの挨拶。
どうやら、生徒会選挙が行われるらしい。
これから選挙期間に入り、1週間後に立会演説会と投票。
隣の女子たちの話声で、ウチの学校の選挙が、どんなものかが分かった。
「選挙って言っても、ポスターも朝の演説も無い。
この学校の生徒会は、2年生の成績上位5人がなる。1位が会長、2位が副会長みたいに。だから選挙期間も短いし、選挙活動もしない。」
「じゃあ私たちは何をするの?」
「◯か✕かを書くだけ。相当なことがない限り落ちる人がいない選挙ってこと」
なるほど…
体育館から教室に戻る人の流れの中、僕は太郎君を探した。
見つからない。ため息が出る。
休み時間、1組を通りかかるが太郎君は見つからない。休みなのか?
自分から誰かに話かけるのは、勇気がいる。だけど、だけど、聞くしかない。
僕は、廊下に出て来た1組の男子生徒に、話しかけた。
「ごめん、あの、このクラスにいる太郎君って子、今日いますか」
「太郎?そんなヤツいたかな?」
そう言って、トイレの方に行ってしまった。
今更、夏休みに名字を聞いていなかったことを、後悔した。
それから毎日、1組の教室前をウロウロしに行ったが、みつからない。
そして1週間が過ぎ、立会演説会となった。
全校生徒が体育館に集まる。
僕は、始まる前のざわつきの中、1組と2組の間を前から歩いた。
最後尾まで歩いたが太郎君はいなかった。1組の生徒に、休みの生徒はいるか確認した。
「いない」
いない。
太郎君がいない。
いない。
いないはずは、ない。
夏休み、太郎君は確かにいた。
1組と言っていたし、学校の話もした。
先生の話、委員会の話、校舎の話。
僕は、友達だと言ってくれた、太郎君との会話を思い出していた。
ふらふらと自分のクラスの列に戻る。
無意識に涙がこみ上げる。
涙をこらえる、息苦しい。
立会演説会が始まった。
それぞれの候補者と推薦人がスピーチをしている。
僕は体育座りをしながら、足に顔をうずめていた。
どこかで聞いたことのあるスピーチばかり。投票用紙に、◯を書くことは、もう決まっている。
太郎君に会いたい。なのにもう会えない。
どうして?
それってどういうことなの?
そんなことを考えていると急に引っかかるワードが出てきた。
「花壇を壊し駐輪場を広げる」
えっ?壇上をみると、七三分けのメガネ、いかにも真面目そうな会長候補者がスピーチしていた。
僕は緑化委員長を探した。何か事前に話を聞いているかも…
2年生の列の中にみつけたが、特に気にしてる様子もない。
他の緑化委員を探すが見つからない。
そもそも緑化委員は5名の最少人数で組織されている。
特に花が好きというメンバーではなく、僕と同じ部活の代わりに入ったメンバーばかりだ。
投票時間。
配られた投票用紙に、僕は都野会長候補にだけ✕とかいた。即座に回収され、その場で開票される。
過半数を超えると当選確定となる。
全員の当選が確定となり、5名が登壇し、一斉に礼をした。
当たり前だけど、僕が✕したくらいじゃ何も変わらない。
花壇を壊して駐輪場を広げる。
これは本当に現実になってしまうのだろうか?
あの花壇には、もう20年以上前からある南天の木がある。壊されてしまったら、南天の木はどうなってしまうのだろう。
