「…っ、それ…戸張くんは、そんなふうに読むんだ」
ぽつりと漏れた一言。
「えっ…」
それは…どういう意味だろう。
なんて、考えている暇もなく。
「『狡い人だなぁ、まったく。でも…』」
彼は目じりを下げて、くしゃりと笑った。
その表情もその声も、まるで思い描いていたもので。
そっと、けれどぎゅうっと固く繋がれた右手。
目の前の相手に、夢中になるこの感覚。
「『そんなところがたまらなく好きなんだ』」
その言葉を聞いた瞬間、どっくん、と大きく心臓が跳ねた。
「っ…!」
手が、腕が、首が、顔が、焼けるように熱い。
それは、全身を駆け巡る血管が沸騰していると錯覚するほど。
「ふ…まさか、あのセリフを言われるなんて思わなかったな。おかげで涙も止まって───…戸張くん?」
「っいや、これは…!ちょ、見ないでください……」
恥ずかしくてたまらなくて、咄嗟に手で顔を覆う。
な……なんだ、これ…?
いくら初めて二階堂先輩の芝居を見たからといっても、こんなに動揺するなんて。


