あまつさえ、愛だとか。


ほっとしたような表情を見せる二階堂先輩。
でも、俺はそんな顔をする先輩が不思議でしかない。



「面倒くさいなんて、今の今まで一度も思ったことありません。二階堂先輩が見てる景色を、俺も見たい…って、そう思いますから」



もっと自信を持って欲しい、なんて。
俺の口からはとてもじゃないけど言えやしない。
自信は付けられるモノじゃないっことくらい、俺でも知ってる。



「だから…監督の、二階堂先輩の言葉で、俺たちを動かしてください。それが一番、見てくれる人の心に届くと思います」



それでも、先輩には先輩の思うやり方で作って欲しい。
俺が惚れた二階堂先輩の作品を、ずっと作り続けて欲しいんだ。



「………」



………?
きっといつもなら、ここで二階堂先輩は「ありがとう」と言って笑ってくれる。
けれど、今日は俯いてばかりで一言も発さない。
少し熱く語りすぎた…?引かれたかな…でも、本当のことだし…。

と、心配に思って顔を覗き込んでみると。



「あの、二階堂せんぱ───っい!?」



二階堂先輩の瞳に溜まった溢れんばかりの涙。
真っ赤に染った頬を伝う雫が、ぽたぽたと床にこぼれ落ちた。