あまつさえ、愛だとか。


「───あ、戸張くんか…って、よくその荷物で開けられたね。今手伝うよ」



そう言って二階堂先輩は席を立った。
はっとした時には既に腕の重みが軽くなっていて。



「こ、このくらい平気ですよ…」


「うん。でも、手伝いたいから」


「そう…ですか」



……スマートすぎる。
人を助けるのを躊躇わない行動力と、相手に気を遣わせない言葉選び。
これが女子だったら、とっくに落ちてるんだろうな。



「ねぇ、戸張くんは今日の撮影どうだった?」


「え…?どう…」



…と言われても。
楽しかったし、二階堂先輩に褒められて嬉しかった。
自分でも満足のいく芝居ができたと思う。

けど、この人にそれをそのまま伝えていいのだろうか。
二階堂先輩の綴るセリフもその先にある演出も、自分の言葉で表現するとどうしてなんだか浅く感じる。



「ふっ、難しく考えなくて大丈夫。戸張くんが感じたことを教えてよ」



俺が、感じたこと。



「…楽しかった、です。何回か止めて、迷惑かけたけど…それでも、楽しいが上回りました」


「そっかぁ…ありがとう。俺、面倒くさい指摘ばかりするでしょ。だから、良かった」