あまつさえ、愛だとか。


「…最高のラストシーンだった。カメラを通して見てたのが勿体ないくらい…本当に、良い芝居だったよ」



その視線の先には、目尻を下げて嬉しそう笑う二階堂先輩がいて。



「俺が急に振ったにも関わらず、完璧どころか、それ以上のラストを飾ってくれたこと…凄く嬉しいです。2人が那月と翔太でよかった。ありがとう」



そんな言葉とともに、拍手を送ってくれた。



「うんうん!めっちゃ良かったー!」


「2人ともお疲れ様〜!」


「サイコー!」



それに続いて、この場にいる全員から同じように拍手が送られてくると、なんだかようやく現実味が湧いてきた。
周りの音がはっきり聞こえる。
未だに俺の頭をかき回す松本と、静かに見守っている黒田先輩。
そして…溢れんばかりの笑みを浮かべる二階堂先輩。

……終わっ、たんだ。

その瞬間、ひとつの雫が頬を伝ってこぼれ落ちた。
それは雨粒よりも生ぬるくて、もっと温かい。
悲しかったり切なかったり…自分でも驚くくらいの喜びに満ちたときに、自然と溢れ出るもの。



「…初めて見た、戸張くんが泣いてるとこ」


「っ…俺だって、涙くらい出ます」


「…うん、でも…綺麗だ。すごく」



飛び交う喝采を浴びながら泣いて、笑った。
みんなの笑顔が滲む中で、二階堂先輩のまっすぐな言葉と揺れる瞳だけが、やけに鮮明に映った。







「…あの、二階堂先輩」


「うん?」