あまつさえ、愛だとか。


『「だから俺はこれが“恋”だと自覚する前に、このまま那月とは、ずっと───」』


『「ずっと、離さねぇよ」』



(那月に抱きしめられたことを悟り、言葉に詰まる翔太。目線を上げて、真剣な顔つきをした那月に目を奪われる)



『「一人で勝手に怖がってれば?そんなもん、お前が怖がる暇もねーくらい、俺がどんだけ愛してるか毎日伝えるから」』



『「っ…!!」』



(声にならない声を上げて感極まる翔太と、翔太の頬を包み込む那月が見つめ合う)




『「…っ絶対、来年も好きだって誓え。心変わりなんて死んでも許さないから」』


『「…来年とか、馬鹿じゃねぇの。この先ずっと、俺は翔太のもんだよ」』



(翔太はつま先を上げ、目を閉じる。二人は唇を重ねあい、誓いのキスをした)







「…っ────カット!!!」



眼前にある松本の真剣な顔…後、ゆるりと頬を緩めてはいきなり頭をわしゃわしゃと撫で回された。



「すっっっげぇ良かった!!戸張、よくあそこから翔太になったな!?」



珍しく興奮した様子の松本が、「マジすげぇ!」と一人で騒ぎ出す。
周りを見渡すと、裏方の部員たちは未だ呆然と立ち尽くしている。
そこに、一瞬で姿を消した黒田先輩がやってきた。



「…正直、俺も驚いた。いつもは徐々に役への気持ちを持ってく戸張が、あの一瞬でとはな」


「黒田…先輩」


「まぁ…でも、一番驚いたのはあいつの方」



そう言って目線をやる黒田先輩は呆れたように、けれど誇らしそうに笑った。