あまつさえ、愛だとか。

…だって、凄かったんだ。
中3のときに訪れた文化祭の出し物の中にあった映画部の作品。
友達に誘われて見ただけだったのに、その出来に圧倒された。
登場する人物たちが本当に生きているようで、言葉一つ一つに込められた思いをもっと汲み取りたいとさえ思った。
逆光の中で、わざと顔を移さずに手を繋いで告白の返事をするあのシーン…思い出すだけでもドキドキしてしまう。
派手なわけではないのにずっと心の奥に残って、気づけばふと思い出したりなんかして。
この高校に入ったのも、あの作品を作った人がいる映画部で同じ作品を作りたいと思ったからという理由。単純だと思われてもいい。
この気持ちが単純でないことを、俺が知っていればいいのだから。

そんなことを考えていると、気づけば部室前だった。



「…あれ。電気ついてる」



少し驚いて、部屋を開けようとした手が止まる。
ほとんどの部員は帰ったはずなのに、まだ誰か残っているのだろうか。
一体誰が…?と思いながらガララ…と扉を開けると。

う、わ………。

そこには、カメラを真剣に見つめる二階堂先輩の姿があった。
雨音がうるさくて仕方ないだろうに、一心不乱と言わんばかりの集中力で流れる映像を凝視している。
…と思ったら、不意に視線がこちらへ向いて肩が跳ねた。