あまつさえ、愛だとか。


「でも…ははっ、そっかぁ…。戸張くんも、俺と同じことを思ってくれるんだもんな」



そうやって可笑しそうに、けれど、慈しむように。
こちらを見つめる瞳がじんわりと滲んだ。
気づけば俺は、目が反らせないままその言葉を反芻していた。



「え…同じ、こと…?それに、伝わっ…たんですか?今の言葉で…?」


「うん。そりゃあもう…わかるよ。でも…言葉だけじゃないから」


「…?それってどういう…」



「どういうことですか」と口にしようとしたのに、そのまま飲み込んだ。



「…どれだけ見てきたと思ってるの、君のこと」



はっきりと聞こえた低めのテノール。
薄く形のいい唇が、きゅっと結ばれて。



「言葉だけじゃない。声も顔も…戸張くんの纏う空気も全部、こうしてずっと、この目に映してきたんだよ」



まるで、俺の全てをわかっているとでも言うような、そんなセリフが二階堂先輩の口から漏れたから。



「っ…」



うるさいほどに鳴っているこの鼓動を鎮めたいのに、なぜか止めたくなくて。
なんだかもう、このどくどく脈打つ心拍さえもが心地よいだなんて馬鹿なことを考えてしまう。



「…俺はね、戸張くん。君の理解者になりたいなんて、おこがましいことは言わない。でも…」



それはきっと、他でもない。



「戸張くんを“理解したい”と思う人間のうちの一人で、その一番が俺であればいいとか…そんなことを思ってしまうくらいに、戸張満に惹かれてる」



今この人の熱を一身に受けているのだと、この身ひとつで感じることができるからだ。