「うん、そうだね」
カメラに流れる映像を、愛おしそうに見つめる瞳がそこにはあって。
返ってきた言葉は、肯定そのものだった。
あまりにもあっさりしていて拍子抜けしてしまう。
「そ、そうだね…って…。それだけ、ですか…?」
「ん?だって…気づいたんでしょ?」
「え…」
二階堂先輩がいつものようににこりと笑う。
瞬間、胸がつかえたみたいに苦しくなった。
っ…なんだ?
いつもとは違うような…そんな気がする。
言うなれば、ほんのり甘さを孕んだような…そんな表情で。
見つめられると目をそらしたくなるのに、なぜか離せなくて。
「…あれ?なんで…俺の表現したいものを、君が演じてくれたと思ったら…」
気づけば、先輩に手を伸ばしていた。
目尻に溜まった雫を、そっと指先で掬う。
昨日はぐらかされたままずっと気になっていること。
二階堂先輩は、聞かれたくないことかもしれない。
もしかしたら、また上手くかわされてしまうのかもしれない。
でも…それでも、聞きたいと思ったから。
「…二階堂先輩、あの───」
「おーい、体育館もう閉めるらしいぞ」
その一声で、一気に現実に引き戻された。


