あまつさえ、愛だとか。


「戸張くん、ちょっとおいで」



と言い、「おいでおいで」のポーズをする二階堂先輩に頬が引きつる。
はは…犬と思われてる、絶対。
…まぁ、行きますけど。



「…なんですか?」


「これ、今撮ったの流すから見てみてくれる?」


「…?はい」


先輩が直接言葉にしないなんて珍しい。
いつも思ったことをそのままハッキリ告げるのに…俺、そんなに下手な芝居でもしたのかな。



「えーっと…あ、ここ。ほら」



小さな画面を男二人で覗き込もうとすれば、自ずと距離は近くなる。
今までだって、そういうことがなかったわけではないし、何度かあった…はずなのに。



「…どう?戸張くん的に見て」


「っえー、と…そう、ですね…」



どちらかが動けば簡単にぶつかってしまいそうな肩。
この湿った体育館の独特な匂いの中でも、ふんわりと隣から香る先輩の香水。
昨日の部室でのことを思い出して、体温が上がっていくのを嫌でも感じてしまう。
聞こえるわけないのに、この胸の脈打つ音がばれないかヒヤヒヤして。

…っ違う、今は部活中だ。
切り替えろ。
自分にそう言い聞かせ、すぅ、と短く息を吐いた。