あまつさえ、愛だとか。


(すぐ後ろにいたクラスメイトの柏木に支えられる)



「『あ…悪ぃ』」



(柏木に謝るが、それと同時に那月が悔しそうな表情をしているのに気づく)



「『…那月?どうし───』」



(笛が鳴り、集合の合図がかかったことにより会話が途切れ、その違和感を抱いたまま体育の授業を終える)



「『っ…カッコ悪ぃ…』」







「───カット!!」



吹き出す汗でベタつく肌とカラカラの喉。
ジメジメとした空気に包まれた体育館は、尋常ではないほどに蒸し暑くて仕方がない。



「…うん、いいんじゃないかな。でも、那月が翔太を受け止められなかったときの悔しさは、柏木に対してだけの単なる“悔しさ”だと思う?」


「んー……違うと思います。翔太がバスケを通じて自分だけを追ってくれる嬉しさばかりに気を取られて、体力がないと誰よりもわかってるはずなのに気づいてやれなくて、その上柏木に支えられてしまう悔しさもあると思いますね」


「うん。それを分かった上でのあの表情(かお)ってことでいい?」


「はい」


「それなら大丈夫。お疲れ様」



ぬるくなったスポドリを喉に流し込みながら、二階堂先輩と松本のやり取りを眺める。
手に纏わりつくペットボトルの汗を不快に感じながらも、二人の会話に耳を潜めていたら。