照れた君を見せてほしい

 朝、目が覚めると隣には大好きな先輩が寝ている。

 昨日の俺の失態なんか、全く覚えていないのか気持ちよさそうにすやすや寝ている。

 先輩をずっと見つめていると、パチっと先輩の目がすぐに開く。

 開いた途端俺を見るなり、不機嫌そうな表情に変わってしまった。

「おはようございます」

「おはよぉ……昨日はよく眠れたか?」

「おかげさまで」

「ふーん。やっぱり翔が抱くのは厳しそうだね」

 先輩はサラッと言う。

 そうだ、昨日の結果、最後までできなかったのだ。

 あんなに照れて顔が真っ赤な可愛い先輩を抱けるチャンスだったのに。

 どうしてうまくいかなかったって?

 前みたいに寝落ちた?

 いいや違う。

「俺の上裸見ただけで照れるとか、慣れてなさすぎるだろ」

「いや、だって先輩が初めてですよ! しかも裸とか見たらどうしたって照れるじゃないですか?」

「だからって、あんなに……」

 呆れて何も言えない先輩。

 昨日は、あのあとすぐに立場が逆転するとは誰も思わなかっただろう。

「やっぱり、やめようか」

 やめる?

 予想していなかった言葉が先輩の口から飛び出してきて、俺は一瞬勘違いだと思ってしまった。

 それでも、先輩の言葉を聞き間違えるなんて考えられない。

「なにを、やめるんですか?」

「セックス」

 先輩は少しだけ寂しそうな表情をしていた。

 先輩の考えが全く分からない。

 やっぱり、俺がちゃんとできなかったから?

「待ってください、俺、ちゃんとできるようになりますから」

「んー、かなり時間かかりそうだし」

「いや、俺が、ちゃんと」

「待って待って、別にこれから一生やらないって言ってるんじゃないよ」

 え?

 先輩は困ったように笑ってから、俺の頭をそっとなでる。

「よく考えたらさ、別に手を繋いだり、ハグしたり、そういうスキンシップをあんまりやったことなくない? いきなりセックスってハードル高いじゃん。まずはそっちからやって、ゆっくり慣れていこうよ」

 先輩は俺のほっぺを人差し指でツンっと押してきた。

「俺の家が空いてるって分かったから勢いで呼んじゃったけど、よく考えたら、デートしたことないよね」

「たしかに」

「今日、デートしない?」

「します!」

「やった」

 嬉しそうに微笑む先輩、こっちまで頬が思わずにやけてしまう。

「デートは俺に任せて」

「え、いいんですか」

「うん、俺が今日は、翔をリードするよ」

 まだ言い慣れていない名前を頑張って言っている感じがして超かわいいです。

 先輩は、昨日の俺が照れすぎてて驚きを隠せていなかったけど、俺だって先輩は名前を呼ぶことにあんなに恥ずかしがるなんて全く思っていなかった。

 お互い様ですね、そんなこと言ったら先輩は怒ったりするのだろうか。