「映画を見よう」
洗い物をしているとき、先輩がDVDケースを持ってやってくる。
「映画……ですか?」
先輩の手元をよく見ると、それはどうやらえっちな奴に見えるんだが……
これを二人で?
「さーここで問題です。俺はこの通り、エロい映画のDVDケースを持っていますが、中身は全く別のものかもしれません。さぁこのケースの中に入ってるのはエロでしょうか、そうじゃないでしょうか?」
そんな問題を出しちゃう先輩がお茶目でかわいいです、ありがとうございます。
しばらく、理解するために頭を働かせていた。
どうしよう、エロい方が俺は嬉しいけれど……
エロい方で!って仮に行ったとき、そうじゃなかったらめちゃくちゃ恥ずかしいじゃないか。
でも、エロい方じゃないって言っても、仮にエロかったら先輩は俺が見たくないとか思っちゃったりするのかな。
まさかこんな問題を出してくるとは。
先輩はにやにやしている。いじわるなオーラであふれている。
ここは、正直に……
「えっちなやつ、だと思います」
先輩は黙り込んで、突然笑いだす。
「え、どっちですか?」
「いや、今のは、めっちゃ真面目な顔して『エッチなやつ、だと思います』って言ってるのがおもろくて、あははははは」
俺は先輩の爆笑姿が見れて今最高に幸せです。
「本望です」
「だからなにそれ、ははっははは。で、正解はバツね」
「え」
「正解は『断末魔の宴 午前零時の解体ショー』でした」
それ、何年か前に映画館でやって、怖すぎて脱落する観客がめっちゃ多くて話題になった作品じゃないですか。
「いやです。俺は血を見るとこっちまで貧血になりますし、心臓に悪すぎて翌日まで動機が残ります。その手の映画は、夜寝る前に思い出して睡眠の質が下がるため、先輩にもお勧めできません。違う映画にしましょう」
川のように流れてくる俺の言い訳に、先輩は腹を抱えて笑いだす。
「睦月って興奮したり、必死になると饒舌になるよね。おもろすぎる」
「面白いなら許してください、スラッシャー系は本当にダメです。先輩と見てたら体壊れるんじゃないかってくらい、先輩を抱きつぶす自信があります」
「抱きつぶすかーははっは。まあ嘘ね」
「嘘っ本当ですか」
「本当だよ。本当はこれ」
先輩はケースを開いてDVDを取り出した。
「『永久に綴る、短い命のラブレター』ペットと家族の絆の映画ね。俺、こういうやつ大好きなんだよね」
先輩は朗らかにそう言った。
最後までえっちなやつを期待していた自分をプレスで押しつぶして、始めから生成してこんな純粋な先輩ともう一度付き合いたい。
「一回俺を工場につれてつぶしてください」
「え、なんで?」
***
映画を見ている間、俺と先輩は特になにもしゃべらず、お互い映画に集中していた。
エンドロールが流れる。
すっと横に視線を向けると、先輩の目には涙で溢れていた。
かっわいいいいいいいいいいいいいいい。
ばちっと目が合うと先輩は恥ずかしそうに目を手で押さえてしまう。
「恥ずい」
え、照れてる、先輩可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い。
先輩って映画見て泣くんだ。
それに比べて、俺は別に涙は出てこない。
いい話、感動した、そんな言葉はいくらでも出てくるが涙になって現れることはない。
あまりにも他の人が映画館で泣いていると、俺がおかしいのではないかと怖くなる。
先輩はどう思っているのだろう。
「おもしろかった?」
「はい、とても面白かったです。感動しました。とくにコタローが最期に力を振り絞って勇太のほっぺをなめるところで、感銘を受けました。序盤は全然懐かなくて、触るのも嫌がっていたコタローがちゃんと自分から動けたのは感極まります」
「そっか、よかった」
安堵の表情を浮かべた先輩。
やっぱり俺が楽しめるか不安に思っていたのだろうか。
「先輩、素敵な映画見させてくれてありがとうございます」
「んーん、いいよいいよ。楽しんでもらえてよかった」
まだ少しだけ赤い目をした先輩、今日は新しい先輩が知れただけでも楽しかったんですよ。
「ちゃんとえっちなやつもあるから、次はそっちにしようね」
「あえ?」
「そっちが本当はよかったんでしょ」
いたずらっぽい目をして微笑んでいる。
「そんなこと……」
「いや、動揺しているね睦月。かわいいー」
目の赤さが薄くなるにつれて、いつもの調子に戻っていく先輩。
それも大好きなんだから、ずっと幸福感に満たされる。
洗い物をしているとき、先輩がDVDケースを持ってやってくる。
「映画……ですか?」
先輩の手元をよく見ると、それはどうやらえっちな奴に見えるんだが……
これを二人で?
「さーここで問題です。俺はこの通り、エロい映画のDVDケースを持っていますが、中身は全く別のものかもしれません。さぁこのケースの中に入ってるのはエロでしょうか、そうじゃないでしょうか?」
そんな問題を出しちゃう先輩がお茶目でかわいいです、ありがとうございます。
しばらく、理解するために頭を働かせていた。
どうしよう、エロい方が俺は嬉しいけれど……
エロい方で!って仮に行ったとき、そうじゃなかったらめちゃくちゃ恥ずかしいじゃないか。
でも、エロい方じゃないって言っても、仮にエロかったら先輩は俺が見たくないとか思っちゃったりするのかな。
まさかこんな問題を出してくるとは。
先輩はにやにやしている。いじわるなオーラであふれている。
ここは、正直に……
「えっちなやつ、だと思います」
先輩は黙り込んで、突然笑いだす。
「え、どっちですか?」
「いや、今のは、めっちゃ真面目な顔して『エッチなやつ、だと思います』って言ってるのがおもろくて、あははははは」
俺は先輩の爆笑姿が見れて今最高に幸せです。
「本望です」
「だからなにそれ、ははっははは。で、正解はバツね」
「え」
「正解は『断末魔の宴 午前零時の解体ショー』でした」
それ、何年か前に映画館でやって、怖すぎて脱落する観客がめっちゃ多くて話題になった作品じゃないですか。
「いやです。俺は血を見るとこっちまで貧血になりますし、心臓に悪すぎて翌日まで動機が残ります。その手の映画は、夜寝る前に思い出して睡眠の質が下がるため、先輩にもお勧めできません。違う映画にしましょう」
川のように流れてくる俺の言い訳に、先輩は腹を抱えて笑いだす。
「睦月って興奮したり、必死になると饒舌になるよね。おもろすぎる」
「面白いなら許してください、スラッシャー系は本当にダメです。先輩と見てたら体壊れるんじゃないかってくらい、先輩を抱きつぶす自信があります」
「抱きつぶすかーははっは。まあ嘘ね」
「嘘っ本当ですか」
「本当だよ。本当はこれ」
先輩はケースを開いてDVDを取り出した。
「『永久に綴る、短い命のラブレター』ペットと家族の絆の映画ね。俺、こういうやつ大好きなんだよね」
先輩は朗らかにそう言った。
最後までえっちなやつを期待していた自分をプレスで押しつぶして、始めから生成してこんな純粋な先輩ともう一度付き合いたい。
「一回俺を工場につれてつぶしてください」
「え、なんで?」
***
映画を見ている間、俺と先輩は特になにもしゃべらず、お互い映画に集中していた。
エンドロールが流れる。
すっと横に視線を向けると、先輩の目には涙で溢れていた。
かっわいいいいいいいいいいいいいいい。
ばちっと目が合うと先輩は恥ずかしそうに目を手で押さえてしまう。
「恥ずい」
え、照れてる、先輩可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い。
先輩って映画見て泣くんだ。
それに比べて、俺は別に涙は出てこない。
いい話、感動した、そんな言葉はいくらでも出てくるが涙になって現れることはない。
あまりにも他の人が映画館で泣いていると、俺がおかしいのではないかと怖くなる。
先輩はどう思っているのだろう。
「おもしろかった?」
「はい、とても面白かったです。感動しました。とくにコタローが最期に力を振り絞って勇太のほっぺをなめるところで、感銘を受けました。序盤は全然懐かなくて、触るのも嫌がっていたコタローがちゃんと自分から動けたのは感極まります」
「そっか、よかった」
安堵の表情を浮かべた先輩。
やっぱり俺が楽しめるか不安に思っていたのだろうか。
「先輩、素敵な映画見させてくれてありがとうございます」
「んーん、いいよいいよ。楽しんでもらえてよかった」
まだ少しだけ赤い目をした先輩、今日は新しい先輩が知れただけでも楽しかったんですよ。
「ちゃんとえっちなやつもあるから、次はそっちにしようね」
「あえ?」
「そっちが本当はよかったんでしょ」
いたずらっぽい目をして微笑んでいる。
「そんなこと……」
「いや、動揺しているね睦月。かわいいー」
目の赤さが薄くなるにつれて、いつもの調子に戻っていく先輩。
それも大好きなんだから、ずっと幸福感に満たされる。


