半ば諦め、後ろ髪を引かれる思いで部屋を飛び出そうとした、その時。
庭先の掃き出し窓の向こうに、本来そこにないはずのものが視界に飛び込んできた。
まるで、不要な塵芥を捨て忘れたかのように。
泥と煤に塗れた位牌が、土の上に転がっていた。
「っ……お母さん……っ!」
無惨に汚された母の化身に駆け寄り、泥だらけのそれを抱きしめる。
冷たい。
けれど、腕の中に戻ってきた途端、胸の奥から熱いものが込み上げた。
こんな残酷な真似をするのは、この家に二人しかいない。
なんて、私は愚かだったのだろう。
あの、偽られた言葉に、一瞬でも希望を見てしまうなんて。
家族だと。
ほんの少しでも信じてしまった自分への情けなさに、視界が涙で歪んでいく。
「っ!まさかっ……!」
嫌な予感がして、位牌を抱えたまま、玄関へと引き返す。
敷居を越えると、冷えた夜風が頬を打つ。
そこには、ただ虚しく、風に煽られた扉が開け放たれているだけだった。
「永太!琴!!!」
庭先の掃き出し窓の向こうに、本来そこにないはずのものが視界に飛び込んできた。
まるで、不要な塵芥を捨て忘れたかのように。
泥と煤に塗れた位牌が、土の上に転がっていた。
「っ……お母さん……っ!」
無惨に汚された母の化身に駆け寄り、泥だらけのそれを抱きしめる。
冷たい。
けれど、腕の中に戻ってきた途端、胸の奥から熱いものが込み上げた。
こんな残酷な真似をするのは、この家に二人しかいない。
なんて、私は愚かだったのだろう。
あの、偽られた言葉に、一瞬でも希望を見てしまうなんて。
家族だと。
ほんの少しでも信じてしまった自分への情けなさに、視界が涙で歪んでいく。
「っ!まさかっ……!」
嫌な予感がして、位牌を抱えたまま、玄関へと引き返す。
敷居を越えると、冷えた夜風が頬を打つ。
そこには、ただ虚しく、風に煽られた扉が開け放たれているだけだった。
「永太!琴!!!」



