「来た……っ!?」
勢いよく立ち上がると、居ても立ってもいられず門に向かって駆け出す。
「門の外へは出るなよ!」
「はい、分かっています!」
あぁ、やっと、やっと二人に会える。
永太、琴。
込み上げる涙を堪え、停車した車の扉が開くのを、祈るような心地で見守った。
……けれど。
車から降りてきたのは、期待していた小さな影ではなく、父と継母、そして鈴の姿だけだった。
「梓!でかしたぞ、お前は我が家の誉れだ!」
「なんて、なんて大きなお屋敷なの……!」
再会を喜ぶ言葉などひとかけらもない。
父と継母は欲望を隠そうともしないぎらついた瞳で私を眺めると、土足同然の勢いで屋敷の中へ踏み込んでいった。
二人の視線は、私ではなく、玄関の柱や敷かれた絨毯、奥に見える調度へと忙しなく滑っている。
「姉さん、本当に……男性に取り入るのだけは、お・じょ・う・ず・なのね。感心しちゃうわ」
すれ違いざまに投げつけられた、鈴の棘を含んだ囁きにはっと我に返り、車の中を覗き込む。
けれど、そこにも永太と琴の姿はなかった。
私は凍りついたように立ち尽くし、慌ててその後を追いかけた。
「いやぁ睦月様、逸れた時はどうなることかと思いましたが、まさかこんな立派な御方に拾われていたとは!運のよい娘だ!」
「本当にお恥ずかしい限りですわ。こちらこそ、至らぬ娘がお役に立てておりますでしょうか」
「とんでもないです。彼女にはいつも助けられてます」
「そんなご謙遜を!どうぞ、煮るなり焼くなり好きに使ってやってください!」
「そうですわぁ。丈夫なことくらいしか取り柄がございませんから」
私の存在など透明な置物であるかのように、二人は朔夜との談笑に興じている。
屋敷の調度品を品定めするように見回す継母と鈴。
その姿を目の当たりにして、一度は消えたと思っていた不安が、再び胸の内に湧き上がった。
「——今後のことにつきましては、当家が責任を持って援助いたします」
「本当ですか!それはありがたい!」
「はい。衣食住はもちろん、必要であれば敷地内に別宅を構える用意もございます」
朔夜の提案に、父と継母の目の色が変わったのが分かった。
まさか。
いくら何でも、そんなはずはない。
だって、あの子たちはまだ幼い。
二人を置いて、自分たちだけがここへ来るなんて。
嫌な予感が脳裏を掠め、焦る気持ちだけが膨らんでくる。
「待って!父さん!永太と琴は?二人はどうしたの!?」
勢いよく立ち上がると、居ても立ってもいられず門に向かって駆け出す。
「門の外へは出るなよ!」
「はい、分かっています!」
あぁ、やっと、やっと二人に会える。
永太、琴。
込み上げる涙を堪え、停車した車の扉が開くのを、祈るような心地で見守った。
……けれど。
車から降りてきたのは、期待していた小さな影ではなく、父と継母、そして鈴の姿だけだった。
「梓!でかしたぞ、お前は我が家の誉れだ!」
「なんて、なんて大きなお屋敷なの……!」
再会を喜ぶ言葉などひとかけらもない。
父と継母は欲望を隠そうともしないぎらついた瞳で私を眺めると、土足同然の勢いで屋敷の中へ踏み込んでいった。
二人の視線は、私ではなく、玄関の柱や敷かれた絨毯、奥に見える調度へと忙しなく滑っている。
「姉さん、本当に……男性に取り入るのだけは、お・じょ・う・ず・なのね。感心しちゃうわ」
すれ違いざまに投げつけられた、鈴の棘を含んだ囁きにはっと我に返り、車の中を覗き込む。
けれど、そこにも永太と琴の姿はなかった。
私は凍りついたように立ち尽くし、慌ててその後を追いかけた。
「いやぁ睦月様、逸れた時はどうなることかと思いましたが、まさかこんな立派な御方に拾われていたとは!運のよい娘だ!」
「本当にお恥ずかしい限りですわ。こちらこそ、至らぬ娘がお役に立てておりますでしょうか」
「とんでもないです。彼女にはいつも助けられてます」
「そんなご謙遜を!どうぞ、煮るなり焼くなり好きに使ってやってください!」
「そうですわぁ。丈夫なことくらいしか取り柄がございませんから」
私の存在など透明な置物であるかのように、二人は朔夜との談笑に興じている。
屋敷の調度品を品定めするように見回す継母と鈴。
その姿を目の当たりにして、一度は消えたと思っていた不安が、再び胸の内に湧き上がった。
「——今後のことにつきましては、当家が責任を持って援助いたします」
「本当ですか!それはありがたい!」
「はい。衣食住はもちろん、必要であれば敷地内に別宅を構える用意もございます」
朔夜の提案に、父と継母の目の色が変わったのが分かった。
まさか。
いくら何でも、そんなはずはない。
だって、あの子たちはまだ幼い。
二人を置いて、自分たちだけがここへ来るなんて。
嫌な予感が脳裏を掠め、焦る気持ちだけが膨らんでくる。
「待って!父さん!永太と琴は?二人はどうしたの!?」



