正直、助かる。
それはもう、痛いほどに。
私自身のことはどうなってもいい。
けれど、幼い永太と琴に、これからの未来、学校へ通う機会を与えてあげられたなら。
私が与えられたこの贅沢を、すべて二人に分け与えられたなら——。
けれど、困る。
何もしていないのに、こんなによくしてもらってばかりでは。
この人にとって、私は鬼狩りと番というだけの関係。
それ以上でも、それ以下でもないはずなのに。
私の方だけ何か、取り返しのつかない形に変わってしまいそうな気になってしまう。
言語化できない熱い感情が、胸の奥に降り積もっていく。
そんなやり場のない気持ちもすべて、このお蕎麦と一緒に飲み込んでしまえたらいいのに。
そんなことを考えながら、残りのお蕎麦を口に含んだ。
「……これも、番を得たからなのだろうか」
「?何がですか……?」
「お前が、どうしようもなく——可愛く見える時がある」
「ぶっ……!なっ!?!?」
思わずお蕎麦を吹き出しそうになり、私は慌てて器を机に置いた。
あまりの衝撃に、顔が火を噴きそうなほど熱くなる。
今、この人は何を言ったのだろう。
可愛い。
私を。
この私を。
「……なぜだ?」
「そ、そんなのっ、私に分かるわけがないです……っ!」
「それもそうか」
不思議そうに小首を傾げられても困る。
何を考えているのか、何に納得したのか。
冗談を言っているようにも、私を試そうとしているようにも見えない。
ただ、混じりけのない純粋な疑問として、彼はその言葉を口にしたのだ。
「朔夜は……そういうことを、簡単に言いすぎです」
「簡単に言ったつもりはない」
「なおさら困ります……!」
先に食べ終えた朔夜が、まっすぐな瞳で私を見つめている。
その視線には、戦場で鬼を射抜く時のような鋭さはない。
けれど、逃げ場がないという意味では、あの紅い眼差しよりもずっと厄介だった。
それだけで、もう、お蕎麦の味も、天ぷらのサクサクした食感も、すべてがどこか遠くへ消え去ってしまう。
「伸びるぞ」
「誰のせいだと思っているんですか……っ」
小さく抗議すると、朔夜はほんのわずかに口元を緩めた。
その表情を見るだけで、ますます胸が苦しくなる。
困る。
本当に、困る。
この人が無自覚に優しくするたびに。
何でもない顔で、私の心臓を跳ねさせるたびに。
私は、自分の気持ちがもう変わり始めているのだと、嫌でも思い知らされてしまうのだから。
それはもう、痛いほどに。
私自身のことはどうなってもいい。
けれど、幼い永太と琴に、これからの未来、学校へ通う機会を与えてあげられたなら。
私が与えられたこの贅沢を、すべて二人に分け与えられたなら——。
けれど、困る。
何もしていないのに、こんなによくしてもらってばかりでは。
この人にとって、私は鬼狩りと番というだけの関係。
それ以上でも、それ以下でもないはずなのに。
私の方だけ何か、取り返しのつかない形に変わってしまいそうな気になってしまう。
言語化できない熱い感情が、胸の奥に降り積もっていく。
そんなやり場のない気持ちもすべて、このお蕎麦と一緒に飲み込んでしまえたらいいのに。
そんなことを考えながら、残りのお蕎麦を口に含んだ。
「……これも、番を得たからなのだろうか」
「?何がですか……?」
「お前が、どうしようもなく——可愛く見える時がある」
「ぶっ……!なっ!?!?」
思わずお蕎麦を吹き出しそうになり、私は慌てて器を机に置いた。
あまりの衝撃に、顔が火を噴きそうなほど熱くなる。
今、この人は何を言ったのだろう。
可愛い。
私を。
この私を。
「……なぜだ?」
「そ、そんなのっ、私に分かるわけがないです……っ!」
「それもそうか」
不思議そうに小首を傾げられても困る。
何を考えているのか、何に納得したのか。
冗談を言っているようにも、私を試そうとしているようにも見えない。
ただ、混じりけのない純粋な疑問として、彼はその言葉を口にしたのだ。
「朔夜は……そういうことを、簡単に言いすぎです」
「簡単に言ったつもりはない」
「なおさら困ります……!」
先に食べ終えた朔夜が、まっすぐな瞳で私を見つめている。
その視線には、戦場で鬼を射抜く時のような鋭さはない。
けれど、逃げ場がないという意味では、あの紅い眼差しよりもずっと厄介だった。
それだけで、もう、お蕎麦の味も、天ぷらのサクサクした食感も、すべてがどこか遠くへ消え去ってしまう。
「伸びるぞ」
「誰のせいだと思っているんですか……っ」
小さく抗議すると、朔夜はほんのわずかに口元を緩めた。
その表情を見るだけで、ますます胸が苦しくなる。
困る。
本当に、困る。
この人が無自覚に優しくするたびに。
何でもない顔で、私の心臓を跳ねさせるたびに。
私は、自分の気持ちがもう変わり始めているのだと、嫌でも思い知らされてしまうのだから。



