鬼狩りの番~置き去りにされた娘は、半人半鬼に血を捧げる~

「おねえちゃん……およめに、いっちゃうの?」

隣の布団から、琴が縋るように小さな手を伸ばしてくる。
その柔らかな熱を持った指先を、私は壊れ物を扱うようにそっと握り返した。
小さな爪の先が、私の掌に不安ごと食い込んでいる。

「行かないよ。……永太と琴が大人になるまで、お姉ちゃんはずっと、二人のそばにいるから」
「ほんとう?」
「本当」
「……ことも、ずっといっしょ!」

もぞもぞと幼い体が同じ布団に潜り込んでくる。
細い腕が、私の袖をぎゅっと掴んだ。
安堵したのか、ほどなくして規則正しい寝息が聞こえ始める。

明日になれば、また新しい傷を付けられるのかもしれない。
それでも、今はこれでいい。
私の腕の中で眠る、この二人の温もりがある。
頼りないくらい小さくて、けれど、私をこの家に繋ぎ止める温もり。
それだけで、私はまだ、明日を望むことができるのだから。