鬼狩りの番~置き去りにされた娘は、半人半鬼に血を捧げる~

しばらくして運ばれてきたお膳を前に、私は思わず息を呑んだ。

これほどまでにお茶碗に高く盛られた、真っ白な炊き立てのご飯を、私はこれまでの人生で見たことがない。
一粒一粒が艶を帯び、立ち上る湯気まで眩しく見える。
ふわりと香るお味噌汁に、脂の乗った焼き魚。
彩り豊かな小鉢がいくつも添えられ、食欲をそそる香りが鼻腔をくすぐった。

「お代わり用のお(ひつ)も、こちらに置いておきますね」
「お代わり……!?」

お櫃の中には、まだたっぷりと白米が詰まっている。
その炊き立ての匂いに、お腹が切なくきゅうっと鳴った。

確かに、飢えを感じるほどには空腹だった。
けれど、箸を伸ばそうとするたびに、永太と琴の顔が脳裏をよぎる。
……あの子たちにも、この温かな食事をお腹いっぱい食べさせてあげたい。

「あの、朔夜は……?」
「朔夜様は、お嬢様のお召し替えが済み次第、お呼びするようにと承っております」
「わかりました……」

ひとまずは、食べて力をつけなければ。
着替えを済ませたら、朔夜に二人の行方を探せないか、真っ先に尋ねてみよう。
何をするにも、まずは自分の体が万全でなければ、何一つ動けないのだから。

お箸に手を伸ばし、温かいお茶碗を持つ。
湯気が頬を撫でる。
こんな切羽詰まった状況だというのに、ご飯の美味しさだけは驚くほど鮮明に伝わってきた。
甘くて、柔らかくて、喉の奥まで温かい。
これまで口にしたこともないような贅沢な味に、どこか罪悪感を覚えながらも、必死に箸を進めた。

「待っていてね、永太、琴……!」