"みなも"みたいな恋だった

中学生になって私は吹奏楽部に入部した。
音楽をやろうと持ったのは何より単純で、名前に音楽に関わる名前が入っていたからだった。

名前に合うような人になろう。
そんな気持ちで入った部活動だった。

みんなで楽しく音を奏でて、演奏を聞けば情景が浮かんで、温かい気持ちになる。笑いあって、感じあって。
音楽とはそんな優しい世界だろうな。
そんな理想を抱いて入部した。
  
でも、この部活はそんな甘い世界ではなかった。

意見の衝突、いじめ、方向性の違い。人数の多いこの部活は色々な形での衝突があった。細かく言えばキリがない。

毎日誰か泣いている。
そんな風に他の部活の人からは言われていた。

理想の世界と思ったこの場所は、まるで闇の世界だった。

けれど、良かったこともある。
私が担当していたサックスのメンバーはみんな仲が良く、特に人間関係で困ることはなかった。

このメンバーで楽しく出来ればそれでいい。
そんな気持ちで2年生の夏まで過ごしていた。

ただ苦悩が始まったのは自分が指揮者に選ばれてからだった。