ゴールデンウィークになり、中学の親しいメンバーで集まった。
高校生になってまだたったの一ヶ月なのに、毎日会っていた友達との再会は、とても久しぶりな気がした。
河川敷に簡単なテントを張って開催されたBBQ。あっという間にジュウ、と油が弾ける音と、焦げたタレの匂いが広がっていく。
「ちょ、まだ早いって!」
「いいじゃんいいじゃん、どうせ食うんだから!」
莉子と悠里が笑いながらトングを奪い合う様子を、私はぼんやりと眺めていた。
〈今日、何してんの?〉
手元にある、朝届いていたメッセージを開き、私はそっと目を伏せた。
どこか緊張するやり取りや、たまに言われる冗談のような甘い言葉。
女の子扱いされているようなむず痒い雰囲気も、慣れていなくて落ち着かない。
私が知っている、どの男の子とも違う。きっと、慣れてるし、遊んでるタイプなんだろう。
メッセージは返さないまま、私は美味しそうな煙を上げるお肉へと近づいた。
「焼けたの見計らってきたんじゃないの、紗夏」
悠里が、皿に肉を乗せて差し出してくる。
「らっきー」
水遊びをしている男子たちは一旦放置して、女子四人でお肉を頬張る。
毎年やっているからか、どんどんお肉の焼き具合は上達していて、最高の焼き加減のお肉が頬を緩ませた。
「てかさ〜最近紗夏、ちょっと怪しいんだよね〜」
焼きマシュマロを手にした莉子が、突然思わぬ話題を口にする。
「え?」
受け取ったマシュマロをクッキーに挟んでいた私は、思わず手を止めて莉子の方を見た。
「怪しいって?」
悠里と野々も不思議そうに首を傾げるけど、莉子だけが、意味あり気に笑っている。
「なんか報告あるんじゃないの?ほら、好きな人、とか?」
その瞬間、胸の奥がドキッと大きく音を立てた。手にしていたクッキーを落としそうになって、慌てて力を込める。
「え、なに、好きな人!?紗夏が!?」
「ちょっと待って、それはちゃんと聞かなきゃ!」
身を乗り出してくる悠里と野々に、私は慌てて首を振った。
三人からのまっすぐな視線に耐えられず、少しだけ俯いて小さく続ける。
「本当に好きとかじゃないの。ちょっと気になるってだけで……」
「きゃーー!」と響き渡った高い声に、水遊びに夢中だった男子まで振り返る。
「いやー、まさか紗夏が、壱生となんてね」
簡単に出された名前に、私はまた真っ赤になって「莉子!」と怒った。
「やっぱり正解?」
悪いとも思っていなさそうに肩をすくめる彼女にため息が落ちる。
「壱生……ってなんか名前聞いたことあるな」
「……夏祭りのときのイケメン?」
記憶の迷路を越えた野々がぽつりと呟いた。それに悠里も思い出したようで、目を見開く。
「莉子の幼馴染の!?意外すぎるんだけど!」
一気に声が弾けて、私は思わず声を大きくした。
「違う!だから好きとかじゃないんだってば!」
川から上がってきていた男子までもがなんとなく会話の流れを拾ったようで、乗っかって揶揄われる。
「まじか紗夏〜!応援してるからな!」
「壱生か〜。俺も小学校一緒だけど、男から見てもかっこいいよな」
笑いながら近づいてくる声に、ますます顔が熱くなっていき、私は両手で自分の頬を仰いだ。
「ほんとに違うんだってば……」
明るく応援されればされるほど、心は塞ぎ込んでいくばかりで。
「……いいの。好きになりたくないの」
気付けば、そんなマイナスな声が落ちていた。
「私には手に負えないの、分かってるし。絶対、好きになってもらえないもん……」
風の音に紛れそうなほどの声で、私はそう続けた。
静まってしまった空気に申し訳なくなるけれど、応援されるのがもったいないくらいの無謀な恋というのが現実だった。
高校生になってまだたったの一ヶ月なのに、毎日会っていた友達との再会は、とても久しぶりな気がした。
河川敷に簡単なテントを張って開催されたBBQ。あっという間にジュウ、と油が弾ける音と、焦げたタレの匂いが広がっていく。
「ちょ、まだ早いって!」
「いいじゃんいいじゃん、どうせ食うんだから!」
莉子と悠里が笑いながらトングを奪い合う様子を、私はぼんやりと眺めていた。
〈今日、何してんの?〉
手元にある、朝届いていたメッセージを開き、私はそっと目を伏せた。
どこか緊張するやり取りや、たまに言われる冗談のような甘い言葉。
女の子扱いされているようなむず痒い雰囲気も、慣れていなくて落ち着かない。
私が知っている、どの男の子とも違う。きっと、慣れてるし、遊んでるタイプなんだろう。
メッセージは返さないまま、私は美味しそうな煙を上げるお肉へと近づいた。
「焼けたの見計らってきたんじゃないの、紗夏」
悠里が、皿に肉を乗せて差し出してくる。
「らっきー」
水遊びをしている男子たちは一旦放置して、女子四人でお肉を頬張る。
毎年やっているからか、どんどんお肉の焼き具合は上達していて、最高の焼き加減のお肉が頬を緩ませた。
「てかさ〜最近紗夏、ちょっと怪しいんだよね〜」
焼きマシュマロを手にした莉子が、突然思わぬ話題を口にする。
「え?」
受け取ったマシュマロをクッキーに挟んでいた私は、思わず手を止めて莉子の方を見た。
「怪しいって?」
悠里と野々も不思議そうに首を傾げるけど、莉子だけが、意味あり気に笑っている。
「なんか報告あるんじゃないの?ほら、好きな人、とか?」
その瞬間、胸の奥がドキッと大きく音を立てた。手にしていたクッキーを落としそうになって、慌てて力を込める。
「え、なに、好きな人!?紗夏が!?」
「ちょっと待って、それはちゃんと聞かなきゃ!」
身を乗り出してくる悠里と野々に、私は慌てて首を振った。
三人からのまっすぐな視線に耐えられず、少しだけ俯いて小さく続ける。
「本当に好きとかじゃないの。ちょっと気になるってだけで……」
「きゃーー!」と響き渡った高い声に、水遊びに夢中だった男子まで振り返る。
「いやー、まさか紗夏が、壱生となんてね」
簡単に出された名前に、私はまた真っ赤になって「莉子!」と怒った。
「やっぱり正解?」
悪いとも思っていなさそうに肩をすくめる彼女にため息が落ちる。
「壱生……ってなんか名前聞いたことあるな」
「……夏祭りのときのイケメン?」
記憶の迷路を越えた野々がぽつりと呟いた。それに悠里も思い出したようで、目を見開く。
「莉子の幼馴染の!?意外すぎるんだけど!」
一気に声が弾けて、私は思わず声を大きくした。
「違う!だから好きとかじゃないんだってば!」
川から上がってきていた男子までもがなんとなく会話の流れを拾ったようで、乗っかって揶揄われる。
「まじか紗夏〜!応援してるからな!」
「壱生か〜。俺も小学校一緒だけど、男から見てもかっこいいよな」
笑いながら近づいてくる声に、ますます顔が熱くなっていき、私は両手で自分の頬を仰いだ。
「ほんとに違うんだってば……」
明るく応援されればされるほど、心は塞ぎ込んでいくばかりで。
「……いいの。好きになりたくないの」
気付けば、そんなマイナスな声が落ちていた。
「私には手に負えないの、分かってるし。絶対、好きになってもらえないもん……」
風の音に紛れそうなほどの声で、私はそう続けた。
静まってしまった空気に申し訳なくなるけれど、応援されるのがもったいないくらいの無謀な恋というのが現実だった。



