もしもあの時

 同窓会を終え、私は家に帰った。
 今日は懐かしい実家へと帰る。
 同窓会に行っている間、子供たちを母に預けていたからだ。

「ただいま」

「おかえり~」

 子供たちは走って玄関までやってきた。
 そして、抱きついてくる。

「おばあちゃんのおりょうり、おいしかったんだよ! みそしる、ママのあじがした!」

「ふふふ……」

 あの日、味噌なんて買いに行かせた母を恨んだものだった。
 けれど、母は私の事情なんて知るはずもなかった。

 あの後、母は味噌を使ったお料理をたくさん私に教えてくれた。
 私は料理の腕を上げ、今は旦那や子供たちに毎日美味しいご飯を作れるようになっていた。
 これも運命だったのかな……

 かつての自分の部屋に入ってみた。
 母はあの時のまま、部屋を残していてくれた。
 机の上には、空のフォトスタンドがあった。

 引き出しを開けてみた。
 あの日に破いた写真が出てきた。
 ジグソーパズルのように、写真をつなげてみる。
 裏からテープを貼って完成。
 今日の同窓会で会ったメンバーたちが、十年前の姿で蘇った。
 やっぱり、この頃はみんな若かった。
 貴矢くんも……私も……

 部屋の外から、私を呼ぶ子供たちの声が聞こえた。
 私は写真を、そっと引き出しの中にしまった。


< 了 >