最後までお読みいただきありがとうございました。
今回はおまけとして、3人のワチャワチャした自宅フェスでのセッション(?)の様子をお届けします。
******
小川は恐る恐る、そのプレミア物のギターに手をかける。
彼女の父親のものだと言っていた。
きれいに磨かれ、弦も新しい。
ヴィンテージのエレキギターだ。
あまりの興奮に、小川は、
「ね……ねえ、もしかして、アンプもある?」
と未知に声をかける。
彼女が、もはや使っていない暖炉の奥から「よいしょ」と持ち出そうとするから、慌てて平屋と三人で応接室の中央に持ってくる。
コードをつなぐが、ギターだけではやはり心もとない。
「未知……、他に楽器あるか?」
と尋ねると、
「自室に、キーボードと、タンバリンが確か……」
と言うので、これまたドタドタと二階に上がり、キーボードを平屋が、スタンドと椅子は小川が運ぶ。
未知はタンバリンを持つ。三人が動く度に、クリスマスみたいにシャカシャカと鳴った。
「なんで家のなかに螺旋階段があるんだよ……!」
平屋がブツブツ言う。
ようやく、楽器が揃った。
いよいよ曲だ。
小川は、
「G5、B♭5、C5……」
と左手を確かめながら、音を鳴らす。
「かっこいい!!」
未知が声を上げる。
「ディープパープルの……」
平屋の言葉に続くように、小川がドヤ顔で言う。
「そ。スモークオンザウォーターだ! いいだろ! このリフ!! 平屋、ボーカル頼んだ」
「無理ですよ! タブレットもスマホもなくて、歌詞わかりません!!」
「ばっか! ロックはノリだろ? 適当に合わせて見ろよ。ほら、未知も!」
「ええ……!?」
未知は慌ててキーボードに指を走らせる。
低い音から高い音を乱高下するような音が出る。
平屋は、吹っ切れたようにタンバリンを叩きながら、
「湖のうえは、火事――!
スモークもくもく
スモークもくもく!!」
と無理やり節を取る。
「いいじゃん!」
と小川が言う。
しかし、その瞬間。
小川のギターがピタリと止まった。
「すまん。こっから先、弾けない」
未知と平屋が、ズサーと同時にずっこけた。
平屋は小川に食ってかかる。
「ロックはノリなんでしょ! 最後までやりますよ!」
小川は悲痛な声を上げる。
「左……左指が死ぬ……!!」
未知はキラリと目を光らせて笑った。
「しょうがないなあ! キーボードでリードしますよ! 先輩がた!!」
これまで見たことのない、未知の屈託ない笑顔だった―――。

今回はおまけとして、3人のワチャワチャした自宅フェスでのセッション(?)の様子をお届けします。
******
小川は恐る恐る、そのプレミア物のギターに手をかける。
彼女の父親のものだと言っていた。
きれいに磨かれ、弦も新しい。
ヴィンテージのエレキギターだ。
あまりの興奮に、小川は、
「ね……ねえ、もしかして、アンプもある?」
と未知に声をかける。
彼女が、もはや使っていない暖炉の奥から「よいしょ」と持ち出そうとするから、慌てて平屋と三人で応接室の中央に持ってくる。
コードをつなぐが、ギターだけではやはり心もとない。
「未知……、他に楽器あるか?」
と尋ねると、
「自室に、キーボードと、タンバリンが確か……」
と言うので、これまたドタドタと二階に上がり、キーボードを平屋が、スタンドと椅子は小川が運ぶ。
未知はタンバリンを持つ。三人が動く度に、クリスマスみたいにシャカシャカと鳴った。
「なんで家のなかに螺旋階段があるんだよ……!」
平屋がブツブツ言う。
ようやく、楽器が揃った。
いよいよ曲だ。
小川は、
「G5、B♭5、C5……」
と左手を確かめながら、音を鳴らす。
「かっこいい!!」
未知が声を上げる。
「ディープパープルの……」
平屋の言葉に続くように、小川がドヤ顔で言う。
「そ。スモークオンザウォーターだ! いいだろ! このリフ!! 平屋、ボーカル頼んだ」
「無理ですよ! タブレットもスマホもなくて、歌詞わかりません!!」
「ばっか! ロックはノリだろ? 適当に合わせて見ろよ。ほら、未知も!」
「ええ……!?」
未知は慌ててキーボードに指を走らせる。
低い音から高い音を乱高下するような音が出る。
平屋は、吹っ切れたようにタンバリンを叩きながら、
「湖のうえは、火事――!
スモークもくもく
スモークもくもく!!」
と無理やり節を取る。
「いいじゃん!」
と小川が言う。
しかし、その瞬間。
小川のギターがピタリと止まった。
「すまん。こっから先、弾けない」
未知と平屋が、ズサーと同時にずっこけた。
平屋は小川に食ってかかる。
「ロックはノリなんでしょ! 最後までやりますよ!」
小川は悲痛な声を上げる。
「左……左指が死ぬ……!!」
未知はキラリと目を光らせて笑った。
「しょうがないなあ! キーボードでリードしますよ! 先輩がた!!」
これまで見たことのない、未知の屈託ない笑顔だった―――。



