探偵研究部。――カケラノセカイ―― ① うわさの新入生を追え!

最後までお読みいただきありがとうございました。

今回はおまけとして、3人のワチャワチャした自宅フェスでのセッション(?)の様子をお届けします。


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 小川は恐る恐る、そのプレミア物のギターに手をかける。
 彼女の父親のものだと言っていた。
 きれいに磨かれ、弦も新しい。
 ヴィンテージのエレキギターだ。

 あまりの興奮に、小川は、
「ね……ねえ、もしかして、アンプもある?」
 と未知に声をかける。

 彼女が、もはや使っていない暖炉の奥から「よいしょ」と持ち出そうとするから、慌てて平屋と三人で応接室の中央に持ってくる。

 コードをつなぐが、ギターだけではやはり心もとない。

「未知……、他に楽器あるか?」
 と尋ねると、

「自室に、キーボードと、タンバリンが確か……」
 と言うので、これまたドタドタと二階に上がり、キーボードを平屋が、スタンドと椅子は小川が運ぶ。
 未知はタンバリンを持つ。三人が動く度に、クリスマスみたいにシャカシャカと鳴った。

「なんで家のなかに螺旋階段があるんだよ……!」
 平屋がブツブツ言う。


 ようやく、楽器が揃った。

 いよいよ曲だ。


 小川は、
「G5、B♭5、C5……」
 と左手を確かめながら、音を鳴らす。

「かっこいい!!」
 未知が声を上げる。

「ディープパープルの……」
 平屋の言葉に続くように、小川がドヤ顔で言う。

「そ。スモークオンザウォーターだ! いいだろ! このリフ!! 平屋、ボーカル頼んだ」

「無理ですよ! タブレットもスマホもなくて、歌詞わかりません!!」

「ばっか! ロックはノリだろ? 適当に合わせて見ろよ。ほら、未知も!」

「ええ……!?」
 未知は慌ててキーボードに指を走らせる。
 低い音から高い音を乱高下するような音が出る。

 平屋は、吹っ切れたようにタンバリンを叩きながら、

「湖のうえは、火事――!
 スモークもくもく
 スモークもくもく!!」

 と無理やり節を取る。

「いいじゃん!」
 と小川が言う。


 しかし、その瞬間。
 小川のギターがピタリと止まった。



「すまん。こっから先、弾けない」



 未知と平屋が、ズサーと同時にずっこけた。

 平屋は小川に食ってかかる。
「ロックはノリなんでしょ! 最後までやりますよ!」
 小川は悲痛な声を上げる。
「左……左指が死ぬ……!!」

 未知はキラリと目を光らせて笑った。

「しょうがないなあ! キーボードでリードしますよ! 先輩がた!!」

 これまで見たことのない、未知の屈託ない笑顔だった―――。