SurvivorS in Japan

「前例がない……?」

 私は首を傾げた。

 そんなに珍しい能力なんだろうか。

 昔から普通に使っていたし、特別なことだなんて考えたこともない。

『雨谷小雨さん』

『能力確認は以上です』

『続いて実戦適性試験を行います』

「実戦適性?」

『はい』

『模擬エネミーとの戦闘になります』

 そう言うと、桐生は訓練場の奥を指差した。

 巨大なシャッターがゆっくりと開いていく。

 その先には、三体の狼型エネミー。

 その奥には二メートルを超える大型個体。

(「うそ……」)

(「新人にあれ?」)

(「厳しくないか?」)

(「いや、普通なら一体だぞ?」)

 観覧席もざわつく。

 しかし。

『安心してください』

『全て模擬個体です』

『危険になれば我々が介入します』

「……分かりました」

 私は深呼吸した。

 怖くないと言えば嘘になる。

 十二年前のあの地獄に比べたら。

「やれる」

『試験開始!』

 その瞬間。

 狼型エネミーが一斉に飛び出した。

「速っ!?」

 私は反射的に叫ぶ。

「絡繰神器――鳳翼展開!」

 背中から純白の翼が広がる。

 跳ぶ。

 一気に上空へ。

「飛んだ!?」

「翼まで本物かよ!」

 下から牙を剥く狼たち。

「ごめん!」

「絡繰神器――機神ノー弓矢!」

 巨大な弓が現れる。

 放たれた光の矢。

 ドォーン!

 ー体、二体、三体、狼型エネミーがまとめて消し飛ぶ。

(「一撃!?」)

(「マジかよ!」)

(「火力高っ!」)

 残る大型個体が咆哮と共に突進してくる。

『避けろ!』

 桐生の叫び。

 しかし。

「間に合わ――」

 ドゴォォォン!

 土煙が出る。

(「終わったか?」)

(「いや……」)

(「待て」)

(「なんだあれ」)

「絡繰神器――天壊大槌」

 巨大なハンマー。

 大型個体は地面にめり込んでいた。

(「……え?」)

(「一撃?」)

(「嘘だろ?」)

(「今ので終わったのか?」)

 静寂が辺りを飲み込む。

 観覧席がどよめいた。

(「規格外だ!」)

(「新人じゃねぇ!」)

(「なんなんだあいつ!」)

(「本当に十七歳か!?」)

「終わった……?」

 きょとんとしていたそんな中。\