SurvivorS in Japan

『それでは、雨谷さん』

「はい」

『これより、ランク試験のご案内をいたします』

 受付の女性は書類をまとめると、席を立った。

『こちらへどうぞ』

「はい」

 私は慌てて立ち上がり、後をついていく。

 向かった先は、エレベーターだった。

『地下四階になります』

「地下?」

『はい。訓練区画は地下にありますので』

「へぇ……」

 エレベーターのボタンが押され、扉が閉まり、静かに下降していく。

 地下一階。

 地下二階。

 地下三階。

 地下四階。

 チン。

 扉が開く。

「……え?」

 思わず声が漏れた。

 広い。

 とにかく広い。

 まるでドーム球場のような空間。

 巨大なモニター。

 無数の照明。

 ガラス張りの観覧席。

 そして、そこにいる人たち。

「お、新人か?」

「若いな」

「女の子じゃん」

「また試験か」

 みんな、普通に話しているけどなんとなく分かる。

 ここにいる人たちは全員。

 サバイバーだ。

 サバイバーとは50年前に落ちてきた"『ドロップサイト』"の対抗手段としてできた職業で、
 突然能力が現れた人の事をサバイバーと呼んでいる。
 
『試験官をお呼びしますので、こちらで少々お待ちください』

「分かりました」

 私は指定された椅子に座った。

 胸元のチャームチェーンが小さく揺れる。

 緊張する。当たり前だ。

 今日で、私の人生が変わるかもしれないんだから。

 すると。

 [コンコン]

『失礼』

 低い声が聞こえた。

 振り向く。

 そこには、一人の男性が立っていた。

 三十代くらいだろうか。

 黒いスーツ。

 短く整えられた髪。

 鋭い目つき。

『試験官の桐生です』

『担当させていただきます』

「雨谷小雨です」

『緊張していますか?』

「少しですが……」

『大丈夫ですよ』

『落ちても死にはしません』

「いや、そういう問題ですか?」

『はは、よく言われます』

 冗談なのか本気なのかよく分からない。

『では、これよりランク試験を開始します』

『まずは能力の確認からです』

『雨谷小雨さん』

『能力の使用を許可します』

「……はい」

 私は立ち上がる。

 そして。

 ゆっくりと訓練場へ足を踏み入れた。

 誰もまだ知らなかった。

 この少女が。《絡繰神器》という、前例のない能力を持つことを。