SurvivorS in Japan

『それでは、まずはこちらの書類をお願いします』

「あ、はい」

 受付の女性から数枚の用紙とペンを受け取る。

 思ったより多い。

「えっと……」

 名前。

 年齢。

 現住所。

 緊急連絡先。

 能力の有無。

 既往歴。

 その他もろもろ。

「……なんか普通だなぁ」

 もっとこう。

 秘密結社みたいな契約書とか。

 血判とか。

 そういうのを想像していた。

『皆さんそう言われます』

 受付の女性は苦笑した。

『サバイバーも公的資格ですから』

「なるほど……」

 言われてみればそうだ。

 化け物と戦ったり異能を使ったりするけど、結局は国の管理下にある仕事だ。

 書類を書き進める。

 コードネーム。

「《天狐》……っと」

 名前。

「雨谷小雨」

 年齢。

「17歳」

 現住所。

「東京都港区……」

 緊急連絡先。

「……」

 少しだけ、ペンが止まる。

 十二年前。

 あの日。

 両親は、もういない。

 連絡できる相手なんていない。

 けれど。

 今の私には、保護者代わりになってくれた人がいる。

 私は小さく息を吐くと、その名前と電話番号を書き込んだ。

 これでいい。

 ふとペンが止まった。

【能力の自己申告】

「……」

 困った。

 あるにはある。

 でも、よく分からない。

 何ができるのか。

 どういう能力なのか。

 自分でも説明できない。

「あの……」

『はい?』

「分からない場合って、どうすればいいんですか?」

『空欄で大丈夫ですよ』

「え?」

『ランク試験で確認しますので』

 受付の女性は慣れた様子で答えた。

『むしろ、分からないまま来られる方は珍しくありません』

「そうなんですか」

『はい。自分の能力を正確に把握している方ばかりではありませんから』

 少し安心した。

『では、書き終わりましたら、ランク試験のご案内をしますね』

「はい」

 私はもう一度、書類に目を落とした。