SurvivorS in Japan

(あの日から、私は決めていた。)

(いつか、あの人みたいになるって。)

 ◇

「……ここか」

 手元の紙と、目の前の建物を見比べる。

 間違いない。

 ここが、《特異事象対策・協力機構》東京第一支部。

 通称、《サバイバーサポート》。

 もっと大きな施設を想像していた。

 厳重な警備。

 黒服の職員。

 秘密基地みたいな建物。

 そんなものは1つもない。

 高層ビルが立ち並ぶ東京の一角。

 その中に紛れるように建つ、一見するとただのオフィスビル。

 入口の横にある小さなプレートがなければ、気づかず通り過ぎてしまいそうなくらいだ。

「……思ったより地味」

 思わずそんな言葉が漏れるがここに来るため、私は十二年間頑張ってきた。

「よし」

 小さく気合を入れて、私はビルの中へ入った。

 中は、思っていたより普通だった。

 受付カウンター。

 待合スペース。

 大型モニター。

 まるで役所か病院のようだ。

 ……見た目だけなら。

「……」

 ソファで昼寝している男。

 本を読んでいる老人。

 スマホゲームに熱中している女子高生。

 みんな一見普通に見える。

 何かが違う。

 理由は分からない。

 だけど、ここにいる人たちは全員。

 普通じゃない気がする。

『ご用件は?』

 声をかけられ、私は顔を上げた。

「……登録です」

『新規サバイバー登録ですね』

 受付の女性は慣れた様子で微笑む。

『ようこそ、《サバイバーサポート東京第一支部》へ』

 その言葉に胸が少しだけ高鳴ってしまった。

 ついに来たんだ。

 十二年前。

 あの地獄の中で私を救ってくれた人。

 《月冥神楽》。

 あの人に憧れ続けて。

 ようやく私は。

 サバイバーになるための第一歩を踏み出した。